高齢者の熱中症対策 定期的な水分補給と室内環境

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高齢者の熱中症対策 定期的な水分補給と室内環境

 6月から熱中症により救急搬送されるケースが増えてきた。6月14日~20日の熱中症による救急搬送は892件と、5月と比べ約2倍となっている。コロナ禍2度目の夏を目前に、高齢者の熱中症の注意点や、対策方法などを摂食・嚥下障害看護認定看護師の斉藤美香さん(訪問看護リハビリステーション「アオアクア」)に解説頂いた。

なぜ高齢者は熱中症になりやすいの?

 要因の一つに、水分量が少ないことが挙げられます。私たちの体のほとんどは水分で構成されています。

 子供は約70%、大人は約60%で、高齢者になると約50%と、加齢とともに体内の水分量が減少していきます。

 体内の水分には血液として酸素や栄養素を運び老廃物を集める、尿として老廃物を体外へ排出する、汗を出して体温を調節する機能があり、水分量が少ないと脱水になるリスクも高くなります。

 また、加齢により暑さやのどの渇きを感じる能力が衰えてしまい、熱中症や脱水の症状に気が付きにくく、重症化するケースが多いです。

 このほかにも、腎機能の低下、糖尿病などの疾患で自律神経障害により体温調整が困難なケースなども考えられます。

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熱中症はどんな症状?

 熱中症の主な症状はめまい、頭痛、身体のだるさ、吐き気などで、重症化すると意識消失や高体温などの症状が現れます。

 軽症の場合は「めまいや顔のほてり」「筋肉のつりや筋肉のけいれん」などがありますが、高齢者本人が自覚していない場合が多く、早期発見・対応には介護者の小さな気付きがポイントです。

 例えば▽なんとなく元気がない▽舌が乾いている▽脈が速い▽汗をかかない▽急に便秘になる▽手先が冷たい――などの小さな変化を多職種で見逃さないように把握して、早期対応に繋げて下さい。

熱中症はどうやって予防するの?

 熱中症の予防には①こまめな水分補給②室内環境③代謝をあげること――などが重要です。

 水分補給では1時間にコップ1杯など、こまめに摂取するのがおすすめです。汗をかくと、水分と一緒に塩分やミネラルも失われてしまいます。

 塩分やミネラルも含まれる「経口補水液」や「スポーツドリンク」を活用することでバランスよく水分と塩分、ミネラルを補給できます。

 もし自宅にない場合には、水と一緒に塩、砂糖、レモンなどを摂取するといいでしょう。

 水分補給が苦手な人は、食事の際にスープなど汁物をつけたり、果物を食べてもらう方法もあります。

 室内環境では、エアコンの有無で対応が異なります。エアコンがある場合は、室温28度を超えないように注意し、カーテンを閉めるなど直射日光が当たらないようにすると良いでしょう。

 エアコンがない家庭では、窓を2カ所開けて空気の通り道を作り、首にぬらしたタオルを巻いて少しでも体を冷やすことが大切です。うちわで扇ぐと、汗が蒸発して体を冷やす効果もあります(気化熱)。

 また、飲み物を冷蔵庫で冷やしておいて、飲む際にタオルを巻いて身体も冷やすのも工夫の一つです。

 夏本番を迎える前に代謝を上げて、暑さに身体を慣らす「暑熱順化」も、非常に重要です。

 暑熱順化ができていると、発汗量などが増えて体の熱を下げやすくなるなど、熱中症になりにくい体が作れます。

 ウォーキングや筋トレなどの運動の他、入浴して適度な汗を流すことも暑熱順化に繋がります。入浴を行うデイサービスでも積極的に入浴を促してもらうとよいでしょう。

熱中症の症状があるときの対応は?

 まずは、声をかけて意識があるか確認をしてください。自分の名前が言えない、ペットボトルやコップをしっかり握れない、飲めずにこぼすなど、意識がもうろうとしている場合は医師や看護師にすぐに連絡してください。

 呼びかけて反応がある場合は、水分補給をするとともに、身体や室内を冷やしてください。冷やす部位はわきの下や鼠径部、首元です。

 高齢者の中には、氷などの冷たい刺激が苦手な人もいるので、冷やしたペットボトルをタオルで巻いてあてるなど、必要に応じて工夫をしてください。

コロナ禍の熱中症はどう気を付ければいい?

 コロナ禍で2度目の夏を迎えますが、まだまだマスクをつけた生活が求められます。マスクを着けていると口の渇きを感じにくくなり、脱水の危険が高まります。人との距離が保てる場合はマスクを外したり、マスクを着用していてもこまめな水分補給が大切です。

 また、熱中症が重度化し高体温などの症状がでると新型コロナの発熱と区別が困難です。熱中症の救急搬送者が増えると、医療のひっ迫や、処置が遅れる可能性もあります。

 発熱していても、室内を閉め切っているなど状況を確認し、熱中症の可能性が高い場合には体を冷やして水分補給を行うことで体温が下がる場合もあります。

 また万が一、体調が戻らない場合には救急隊員に「熱中症の可能性もあります」など一言伝えることも大切です。医師などと連携しながら対応してください。

多職種が連携して熱中症対策を

 高齢者の中にはトイレに行きたくない、たくさん飲めない等の理由で、水分補給に消極的な人もいます。また、エアコンをつけているのに、寒いからと厚着をして熱中症になっているケースもあります。

 訪問介護、デイサービス、ケアマネジャーの訪問、訪問診療などの際には水分補給の声掛けや、エアコンが直接体に当たらないよう扇風機を活用したり、体が冷えている場合は、靴下や薄手の上着を羽織らせてあげるなど、多職種でサポートする体制が重要です。

 情報共有しながら利用者に合わせた熱中症対策に取組んで下さい。

(シルバー産業新聞2021年7月10日号)

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