ねんりんピック新聞 2023 in 愛媛 トピックス

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地域古来のSDGs、後世に佐田岬裂織り保存会小林文夫さん

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 「裂織り」(さきおり)は使わなくなった古着などを糸状に裂き、それを織り込んで新しい布にする技法。佐田岬半島の旧三崎・瀬戸・伊方の3町(現在は合併し伊方町)では古くから農業・林業などの仕事着や祭りの法被などに使用されていた。
 「三崎では『おりこ』、瀬戸と伊方では『つづれ』と呼ばれています」と佐田岬裂織り保存会代表の小林文夫さん。「厚みがしっかりしていて破れにくく、作業向き。暖かいので冬場によく着ていました。自給自足、貧しい暮らしの中で生まれた知恵です」と述べる。農家への嫁入り道具として織ることもあったそうだ。

 材料となる生地にハサミで1㎝ほどの幅で切れ目を少し入れ、そこからは手で裂く。端まで来ると切り離さないよう折り返し、それを繰り返す。「浴衣などに使う木綿の素材が一番裂きやすい」(小林さん)。最終的に1本の長い糸になり、これを横糸とし、機織り機で縦糸と織り込む。
 「両端を揃えることと、織り目にすき間ができないよう、織るごとに手前にしっかり引き寄せるのがコツ」と小林さんは説明する。
 昔は、完成した生地を縫い合わせ、主に衣服にしていたが、今はバッグやコースター、インテリア用品などの雑貨にも。「織ってみるまで、完成品のデザインが想像できないところも魅力の一つ。素材の色、模様、裂き方一つで全く違うものができます。一つとして同じものはありません」。

裂織りは先人の生き様
 2012年に保存会を立上げた小林さん。きっかけは、旧三崎町の教育委員会で昔の民具を収集・管理していた際、久々に目にした裂織りだった。
 「昭和40年以降は着る人もいなくなり、現在まで約50年以上、消滅状態でした」。しかし、小林さんにとって裂織りは、子どもの頃に慣れ親しんだ服であり、また厳しい時代を生き抜いた親の姿でもあった。「継承すべき伝統だという気持ちが沸き上がりました」。

 裂織りを知っている人に会いに行き、織り方を学んだ。機織り機もかき集めた。今は自分で組立ても行えるほどになった。
 保存会は現在10人のメンバーで活動。廃校になった小学校舎を使い、作業所「三崎オリコの里」として体験教室などを開く。
観光客や地元の小学校がよく訪れる。
 「昔ながらの機織り機を物珍しく見る子供たちの反応が面白い」と小林さん。それでも、いざ教室が始まると黙々と集中して織り始める。完成した作品を手に取り、喜んで帰る姿を見るたびに「これはやめられない」と決意が強くなるそうだ。
 ねんりんピック「地域文化伝承館」の出展ブースでは機織り機を持ち込み、裂織りの実演・体験会を行う予定。

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