23年3月期決算 物価・水光熱費高騰の負担増

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23年3月期決算 物価・水光熱費高騰の負担増

 2023年3月期決算が揃った。介護事業、福祉用具事業各社の総売上、介護関連部門売上(対前年増減率)、同営業利益(対前年増減率、利益率)、業績要因をまとめた。物価高の影響を受け多くの企業が減益となる中、堅調な主力サービス・商品の売上を背景に増益となった企業も見られた。

ベネッセHD

 介護関連部門の売上は、高齢者向け住宅等の9ホーム拡大、保育園・学童クラブの6拠点拡大があり1326億円(前年同期比4.2%増)となった。水光熱費、および販促費等の増加などがあり部門利益は66億円(同▲17.0%、利益率5.0%)に止まった。学研HD23年9月期第2四半期(22年10月~23年3月)の医療福祉分野の売上は、380億円(同8.2%増)、利益は13億円(同15.7%増、利益率3.6%)と共に増加。高齢者施設の新規開設の推進と、新規・既存施設ともに入居率が高水準を維持したことが要因。

セントケアHD

 売上は515億円(同7.9%増)となるも、利益は17億円(同▲20.1%、利益率3.3%)の減益。訪問系サービスでは、「福祉の里」の訪問介護や居宅介護支援などが寄与。訪問看護は新規拠点の開設と看護師の確保で費用が増加し減益。施設系サービスでは、看多機を新たに6カ所開設し増益。ショートステイは新型コロナの影響で減益となった。

綜合警備保障

 売上はM&Aの効果等により474億円(同14.0%増)に。営業利益は、コスト増や新規施設開設の投資負担等により5.2億円(同▲67.4%、利益率1.1%)となった。

ソラスト

 売上は21年11月にプラスを子会社化したこと等により485億円(同2.0%増)と増加、利益は新型コロナ第7波、第8波による通所系の利用者減少の影響により25億円(同▲2.1%、利益率5.2%)の減益となった。

シップヘルスケアHD

 ライフケア事業(給食・介護)の売上は、335億円(同33.0%増)、営業利益は20億円(同▲14.6%、利益率6.1%)の減益。給食事業はM&A等により増収となったが、食材価格高騰の影響を受けた。介護事業では高い入居率を維持したが、光熱費高騰の影響を受けた。

シダー

 売上は164億円(同4.4%増)、営業利益1.3億円(同▲29.8%、利益率0.8%)の減益。人件費、本社移転による販管費が増大した。部門別では、デイは新型コロナによる利用者減の影響で売上は33億円(同▲3.9%)・利益1.6億円(同▲36.8%)。施設は売上118億円(7.5%増)、利益11億円(同8.3%増)、在宅は売上10億円(0.1%増)、損失▲4400万円。

ロングライフHD

 23年10月期第1四半期(22年11月~23年1月)の売上は31億円(同0.02%増)、営業利益2200万円。有老23施設(1041室)で売上12億円(同▲2.5%)、経常利益4700万円(同797%増)。在宅介護事業は売上15億円(同▲2.1%)、経常利益3000万円(同47.0%増)。リゾート事業売上6400万円(同7.6%減)、経常損失6300万円。

ヒューマンHD

 介護事業の売上は、前期に開設した施設の利用者が堅調に推移し113億円(同2.2%増)と増加。営業利益は、処遇改善による人件費上昇や、水光熱費高騰などによる運営費の増加が影響し、2000万円(同▲91.6%、利益率0.2%)となった。

ケアサービス

 売上は92億円(同3.0%増)、営業利益4.3億円(同40.8%、利益率4.7%)。計107事業所で「介護からエンゼルケアまで」のサービスを展開。物価・光熱費高騰などに伴う費用上昇を、購買コストの見直しや内製化による外注費削減等で抑制。DX推進による事務効率の改善を進め、労務費を圧縮。

王子HD

 おむつを含む生活産業資材売上は商品の価格修正を行い7805億円(同11.7%増)と増加したが、原燃料費高騰の影響により12億円の損益となった。紙おむつの売上高は前年並のおよそ100~150億円で大人用おむつが約65%を占めた。

ユニ・チャーム

 パーソナルケア部門の23年12月期第1四半期(23年1月~3月)の売上は1877億円(同6.5%増)、営業利益228億円(同▲12.9%、利益率12.2%)。海外は、大人用排泄ケア用品の対象人口が多い中国で、現地ニーズに合った新製品を販売、タイやインドネシアなどでは商品ラインナップの充実と日本式ケアモデルの普及促進を図る。国内市場では、行動制限緩和による市場の回復と価格転嫁促進が成長に寄与。

花王

 23年12月期第1四半期(23年1月~3月)の大人用おむつ「リリーフ」を含むハイジーン&リビングケア事業の売上は1137億円(同▲0.2%)、利益は27億円(同▲60.3%、利益率2.4%)。

大王製紙

 おむつを含むホーム&パーソナルケア事業の年間売上は2703億円(同5.1%増)、125億円の損失。海外事業の価格改定や為替の影響で売上高は前年同期を上回ったが、国内・外ともに原材料等の製造コスト増加を価格転嫁できず減益となった。

パラマウントベッドHD

 売上は990億円(同9.6%増)と増加し、営業利益134億円(同9.0%増、利益率13.6%)と増益。在宅向けでは主力ベッドと新製品の販売が好調。施設向けでは補助金等の効果もあり見守り介護ロボットの新規導入やベッド等の更新需要が拡大した。福祉用具レンタル卸も堅調に推移。

トーカイ

 介護用品のレンタル事業を含む健康生活サービスの売上は670億円(同5.6%増)、同利益66億円(5.6%増、利益率9.9%)と増益。病院関連事業の「入院・入居セット」の売上が好調に推移。ホテル・旅館稼働率の回復により寝具・リネンサプライ事業の売上が増加した。

日本ケアサプライ

 売上258億円(同11.1%増)、営業利益21億円(同▲9.0%、利益率8.2%)。福祉用具レンタル卸が堅調に推移。食事サービスのメニュー拡大やフィッティング付おむつ配送サービス「おむピタ」の拡販を推進した。

ピジョン

 「ベビーケア」「子育て支援」「ヘルスケア・介護」等で構成される日本事業の23年12月期第1四半期(23年1月~3月)の売上は88億円(同0.3%増)、営業利益は4.3億円(同▲19.1%、利益率5.0%)。トイレットペーパーを流せるおしりふきに変えるスプレー「ラクラクおしりキレイミスト」を発売。一部商品の価格改定を実施。

プラッツ

 23年6月期第3四半期(22年7月~23月3月)の売上は46億円(同▲5.1%)、営業利益は1.3億円の損失となった。製品値上げによる需要減退、中国の連結子会社が「ゼロコロナ政策」による移動制限を受け施設向けの案件が遅延したことなどが影響。

幸和製作所

 「シトレア」を中心とした歩行車の販売が好調に推移し、売上は62億円(同9.6%増)、営業利益は6.4億円(同9.9%、利益率10.4%)と増益。部門別売上は介護用品55億円(利益8.2億円)、介護サービス1.6億円(利益▲1600万円)、EC事業7.3億円(利益2400万円)。

(シルバー産業新聞2023年6月10日号)

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