都道府県別にみる介護保険・高齢者介護【毎月自治体追加】
都道府県別に、行政インタビュー、地域に根差した注目法人、市町村単位での地域の実情に応じたユニークな取り組みなどを紹介します。気になる情報はリンクから各記事へ移動できます。自治体は毎月追加。
北海道
北海道の介護保険 定期巡回サービス全国最多
北海道は地域密着型の利用割合が高く、給付費全体の24.5%を占める(全国平均17.2%)。なかでも定期巡回サービスは全国トップ。サ高住併設、サテライト独自基準で整備が進む。
つしま医療福祉グループ 人材育成から福祉のまちづくりまで
10法人107の医療・介護施設・事業所を運営する「つしま医療福祉グループ」。「ノーマライゼーション」の実践から、地域包括ケアシステムの構築、現在はまちづくりまで、その取組は年を追うごとに広がっている。北海道で地域の注目の事業者を取材した。
江別訪問診療所 在宅患者300人を支える
札幌市の東に隣接する江別市に、訪問診療専門のクリニックがある。社会医療法人関愛会が運営する「江別訪問診療所」は常勤医師4人で24時間・365日の対応を行う強化型在宅療養支援診療所。「へき地医療支援センター」として週1回、道立江差病院へ外来医師の派遣も行っている。
名寄市社協 手紙を高齢世帯へ全戸配布
名寄市社会福祉協議会は2020年12月より、高齢者の心身の健康維持を目的に、「こんにちはレター」を町内会や民生委員の協力のもと、高齢者世帯約1700カ所を全戸訪問し配布している。
埼玉県
埼玉県の介護保険 全国トップスピードで後期高齢者が増加
埼玉県は今後、後期高齢者の数が全国トップクラスのスピードで増加していくのが特徴で、40年には125万人に達する予想になっている。また、85歳以上の高齢者で見ると、20年時点の26万人に対し、40年時点は56万人と、全国で最も早いスピードで「倍以上」に増加する。医療・介護ニーズの高い高齢者の急速な増加に、どう対応していくかが大きな課題と県高齢者福祉課の播磨高志課長は説明する。
社会福祉法人埼玉県共済会 救貧・防貧から介護まで地域に根差した1世紀
埼玉県共済会は、1918年に勃発した米騒動をきっかけに、当時、埼玉県知事だった岡田忠彦氏が独自の救済事業機関の設立を考えたことが始まり。1世紀に渡って地域に根差してきた。介護保険施行以降は収益性の確保なども課題に。現在は、新型コロナ対応、人材確保、物価高騰などを抱えながら、地域を支え続けている。
まちかど健康相談室 専門職がいる通いの場、予防の受け皿に
「まちかど健康相談室」は和光市が事業委託する介護予防拠点の一つ。体操や折り紙、料理教室などのレクイベントをほぼ毎日(平日)開催し、コロナ前は年間のべ約4000人、昨年度も約2800人が訪れている。8割が70代以上の高齢者だが、障がい者、赤ちゃん連れの子育て世代も多い。
東京都
東京都の介護保険 2040年に向けて健康長寿社会のモデル都市に
東京都の人口は少子化の影響により、2025年の1423万人をピークに減少に転じることが予測される。一方で、高齢者の数は増加していく。高齢者人口は、25年には約328万人(高齢化率23.0%)、40年には379万人(27.8%)に達し、都民の4人に1人が高齢者となる見込みだ。
こうほうえん 東京の介護ニーズを支える地方法人
東京都の介護事情をみると、地方の社会福祉法人や医療法人の相次ぐ進出は大きな特徴の一つといえる。鳥取県米子市に本部を置く社会福祉法人こうほうえんはその代表例だ。225事業を展開し、2300人もの職員を抱える同法人が、500km離れる東京へ出てきた理由は何か。
八王子市「ハッピーチャレンジプログラム」 リハ職の週1面談で再自立を目指す
東京都八王子市は2021年4月より、リハビリ専門職による個別面談を中心とした通所型短期集中予防サービス(通所C)「ハッピーチャレンジプログラム(略称:ハチプロ)」をスタートした。利用者の再自立(リエイブルメント)を目的に、セルフマネジメントや自立日常生活の継続を支援する。
新潟県
新潟県の介護保険 施設サービス費全国最高額 介護予防、重度化防止で認定率維持
人口215万人を抱える新潟県。全国平均を上回るペースで高齢化が進展し、1人当たり施設サービス費は全国一となっている。同県の伊藤隆之高齢福祉保健課長は、県民が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために、「介護予防や重度化防止、介護人材の確保に注力していく」と話す。
ケアマネからみた新潟県の高齢者介護
新潟県は高齢者1人当たりの施設サービス給付費が全国で最も高い県だ。また居宅サービスでもショートステイの利用率が高く、その中ではいわゆる「ロングショート」の利用も少なくない。要因の一つとして、寒冷地ならではの「越冬入所」もある。
関東圏への転出多い新潟県 医師確保・定着も課題
地域社会の高齢者福祉の向上を目的に設立された新潟県老人福祉施設協議会。2013年度からは一般社団法人となり、今年6月現在で県内568事業所の会員を擁する。昨年度に17代会長として就任した山田淳子会長(特別養護老人ホームみなみ園施設長)に、県内の介護ニーズや協会の取組みについて聞いた。
長岡福祉協会 精神病院から介護福祉事業へ、首都圏でも事業展開
新潟県長岡市に本部を置き、全国有数の事業規模を誇る長岡福祉協会。地域包括ケアシステムをいち早く実践した故・小山剛氏が総合施設長を務めた高齢者総合ケアセンター「こぶし園」も広く知られる。田宮崇理事長に、法人の歩みや取り組みについて聞いた。
介護食の展示・相談 バス待合室で 大学病院に「食の支援ステーション」
新潟大学医歯学総合病院の敷地内、バス待合室に「食の支援ステーション」が設置されている。介護食品や口腔ケア用品、食器や自助具などが展示。専門職が常駐し、来訪者への聞き取りとアドバイス、サンプル提供などを行う。
新潟県後期高齢者医療広域連合 リスク者へ訪問歯科・栄養・服薬
新潟県後期高齢者医療広域連合は健康保持・増進のための保健事業実施計画(データヘルス計画)を運用、来年度が6カ年の最終年度となる。レセプトや健診データをもとに健康課題をもつ対象者(ハイリスク者)を抽出し、適切な医療等へつながるよう受診勧奨を行う。
石川県
石川県の介護保険 2025年時点の介護人材充足率、全国トップ
国が発表した2025年時点の介護人材の受給推計で、充足率が全国トップの石川県。「石川県介護・福祉人材確保・養成基本計画」に基づき、介護・人材確保の拠点である「福サポいしかわ」を軸に、求職者の視点に立ったきめ細やかなマッチングを推進したり、未経験者の就労支援や外国人介護人材の受け入れ支援などを積極的に行ってきた。
社会福祉法人自生園 働きやすい職場づくりが良いケアに繋がる
社会福祉法人自生園(石川県小松市、木崎馨雄理事長)は1300年の歴史を持つ那谷寺が設立母体で、困っている人を助けたいと思う慈悲の心を大切に、「自分のできることを実践する」との教えに従い、社会活動の一環として養護(盲)老人ホーム、特別養護老人ホーム、通所介護、グループホームなど16事業を地域に根差して展開してきた。
「必要な時につなげられる」医療連携研修が充実
石川県介護支援専門員協会(北山達朗会長、会員640人)は、医療連携に関する研修を積極的に取り組んでいる。協会役員には医師会や歯科医師会、看護協会などの医療系職能団体からの推薦理事が広く参画し、団体間の合同研修が実施しやすい。北山会長は「医療連携の研修は、ケアマネジャーの役割を他団体・関係機関に知ってもらうためにも欠かせない事業となっている」と強調する。
長野県
長野県の介護保険 地域包括ケア体制の構築状況を見える化
長野県は、平均寿命や健康寿命が男女ともに全国トップレベルであり、高齢者の有業率も全国1位となるなど、わが国屈指の健康長寿県となっている。要介護認定率が2014年の17.5%をピークに、減少傾向に転じている。性別や年齢調整を行った上での要介護認定率は、20年度時点で13.9%と、全国で2番目に低い。
エフビー介護サービス 長野を拠点に100超の事業所出店、年商93億
長野県を拠点に介護、福祉用具サービスを展開するエフビー介護サービス(佐久市)は県を代表する介護事業者の一つだ。現在は1200人の従業員とともに、県外を含めて107事業所(22年1月現在)を構える大手事業者となった。今年4月には、東京証券取引所スタンダード市場へ株式上場を果たしたばかり。
小諸市 認定率13.3% 年523回、通いの場開催
長野県東部に位置する小諸市は、人口4万1641人、高齢化率32.97%(22年4月1日現在)の地域で、少子高齢化が進んでいる。しかし、要介護認定率は全国よりも5ポイント低い13.3%を維持。20年以上前から積極的に開催されている住民主体の集まりの場が介護予防に繋がっていると同市は分析する。
愛知県
愛知県の介護保険 県挙げて「認知症に理解の深いまちづくり」に取り組む
愛知県の認知症の人の数は、15年で約27.7万人と推計され、40年には最大で約54.6万人に増加すると見込まれている。県は17年9月、認知症施策を推進していくため、大府市の認知症介護研究・研修大府センターや国立長寿医療研究センターのあるエリアを核に、「認知症に理解の深いまちづくり」を目指す「あいちオレンジタウン構想」を策定した。
高浜市「健康自生地」の取り組み 「自ら出かけたくなるような」居場所づくり
名古屋市内から電車を乗り継ぎ40分ほど、県南部に位置する高浜市(人口4.9万人、高齢化率19.3%)は、屋根瓦(三州瓦)の生産地としても知られるベッドタウン。早くから健康増進・介護予防に取り組んできた。2011年度からは「生涯現役のまちづくり」を掲げ、地域住民主体による高齢者の居場所づくりに力を入れている。
ちばる食堂「間違えても大丈夫」 認知症の人が働く沖縄料理店
ちばる食堂(愛知県岡崎市)は認知症の人が働く沖縄そばのお店。介護になじみのない人が認知症の人を知る機会を作ろうと介護福祉士の市川貴章さんが立ち上げた。認知症の人が当たり前のように働いているなど、一緒に生活することが日常になった社会を作りたいと市川さんは話す。
三重県
三重県の介護保険 「地域性」を克服する多職種連携と地域密着サービスの啓発
南北に長く1府5県に隣接する三重県は、県内4つの老人福祉圏域が設定されており、北勢エリアは大都市・名古屋に近く、中京工業地帯にあたることから高齢化率も比較的緩やか(26.1%)なのに対し、和歌山県に隣接する東紀州エリアは高齢化率が高い(43.0%)。
介護助手「介護職の燃え尽き予防」効果も
介護老人保健施設「いこいの森」(三重県津市、東憲太郎理事長)は、全国に先駆けて高齢者を介護施設の働き手として活用する「介護助手」に取組んできた。全国老人保健施設協会会長で、同三重県協会会長も務める同氏の呼びかけで、三重県内の介護施設が参加する。
「鈴鹿グリーンホーム」LIFE様式はケアプラン改善の重要ツール
鈴鹿市の「鈴鹿グリーンホーム」は、定員80人、全室個室のユニット型特養。科学的介護情報システム(LIFE)へのデータ提出は、昨年4月から取り組んでいる。得られるフィードバック情報は暫定版だが、その情報を自施設の状況と比較することで、ケアの現状把握や改善につなげるための基礎データとしている。
ライフ・テクノサービス 全利用者をBI評価 福祉用具の効果測定に
ADL(日常生活動作)測定ツール「BI」(バーセルインデックス)を使って福祉用具導入の効果測定を行っているライフ・テクノサービス(三重県津市、中川裕社長)。今月父に代わって社長に就任予定の中川敬史さんに今後の展開を聞いた。
鈴鹿亀山広域連合 地域包括6から10に拡大 圏域縮小できめ細かな対応
鈴鹿亀山地区広域連合は第8期介護保険事業計画のスタートにあたり、地域包括支援センターを6カ所から10カ所に拡大。両地区に初めて基幹型地域包括支援センターを設置した。「日常生活圏域をコンパクトに見直して地域包括支援センターを増設、高齢者の相談体制の強化や地域課題解決力の向上を図った」
京都府
京都府の介護保険 専門学校誘致・実習施設開設し北部の介護人材確保
高齢化率と介護ニーズの高い府北部地域で、不足する介護人材を確保しようと、10年ほど前から、同エリアでの人材確保に特化した対策「京都府北部福祉人材養成システム」に取り組む。地元人材の流出を防いだり、他エリアから地元へ戻ってもらえるよう、介護専門職の研修・養成・実習ができる拠点を北部に設置した。
「上位認証」で働き続けやすい職場に寄与 社会福祉法人レモングラス
学生などの若者に、介護・福祉業界で安心して働いてもらおうと、京都府は13年から、人材育成に積極的に取り組む介護事業所を対象に「きょうと福祉人材育成認証制度」を実施している。
「ショッピングリハビリ」京都市の総合事業で展開
島根県雲南市で誕生した「ショッピングリハビリ」が京都市でも始まっている。「10回のリハビリより1回のお買い物」をキャッチフレーズに、介護保険の総合事業で、要支援者と事業対象者を対象に、地域のショッピングモールで、送迎付きでの体操と買い物をする取り組み。退院後の生活を維持する方法として作業療法士の杉村卓哉さんが考案した。
大阪府
大阪府の介護保険 要介護認定率全国1位、利用最も多い訪問介護
大阪府の介護給付の状況をみると、特に訪問介護の利用が多い。厚労省の19年度介護保険事業状況報告年報(19年3月~20年2月)で1年間の費用額の内訳を見ると、大阪府で最も金額の多いサービスは訪問介護で全体の18.1%(全国平均8.8%)を占め、全国平均よりウエイトがかなり大きい。
コロナ禍の生活再建を支える「生活困窮者レスキュー事業」
大阪府は、生活保護受給者が東京都に次いで全国で2番目に多い27万人で、人口に対する受給率は3.1%(東京都は2.0%)と全国で最も高い。長引く不況やコロナ禍などで、日々の生活苦にあえぐ人たちが増える中、大阪府では、社会福祉法人が生活困窮者支援の取り組みに力を入れている。
大東市 リハビリ職、総合事業後6倍に
大阪府の北東部に位置する大東市は、長い歴史をもつ「地域リハビリテーション」がある。通いの場での「大東元気でまっせ体操」や、大東市と民間企業の連携を進める「大東公民連携まちづくり事業株式会社」の設置や、妊娠が分かった時から子どもが18歳になるまでの、切れ目のない支援をめざす「ネウボランドだいとう」など、先進的な取組みを行う。
広島県
広島県の介護保険 アドバイザー派遣で地域課題分析、市町の高齢化率21%~52%
広島県では、2021年度までに府中市、大崎上島町、竹原市、廿日市市でアドバイザー派遣が実施された。アドバイザーを派遣して、市町が地域の実情に応じた持続可能な介護サービスの提供体制のあり方を検討するためのデータ分析、課題整理の支援を行う。
尾道さつき会 必要なDX化の取組 福祉こそ事業効率化を
全国老施協、平石朗会長の施設、尾道さつき会を訪問した。福祉の心で民間企業の合理性による事業運営をめざしてきた。「制度の谷間を埋めることこそ社会福祉法人の役割」という根っからの福祉人が世の中のDX化の流れの中でPDCAサイクルを回し続ける。
高齢化率52%の町で見守り機器導入 働きやすい職場づくりで人材確保めざす
高齢化率52.0%。広島県内で最も高齢化率が高い安芸太田町。高齢者施設の一番の困りごとは職員の高齢化と新規職員の採用。そこで働きやすい職場の環境づくりをめざして特養「寿光園」の全99床に見守り機器が整備されて約1年、導入効果が広がっている。
福岡県
福岡県の介護保険 ノーリフティングケア実現へモデル施設選定
福岡県はスライディングボードやリフトなどの福祉用具を積極的に活用するなどし、介護現場での持ち上げや抱え上げ、引きずりなどのケアをなくし、介護職員の腰痛減少や介護の質向上を図ろうと、「ノーリフティングケア普及促進事業」を20年度から実施している。
久留米リハビリテーション病院 抱え上げないケアの風土化を
久留米リハビリテーション病院(福岡県久留米市、柴田元院長)は、ケアでの安全確保や職員の腰痛予防だけでなく、リハビリテーションの質の向上のために、抱え上げないケアの理念を徹底し、法人として組織的にリフトを活用する。柴田院長とリハビリテーションセンター副センター長の今村純平さん(理学療法士)に話を聞いた。
「北九州モデル」介護を良くし、良い職場づくりを支援するテクノロジー活用
北九州発の介護ロボットやICTなどテクノロジー活用のための伴走型導入・活用支援「北九州モデル」が注目を集めている。「北九州市介護ロボット等導入支援・普及促進センター」で取り組まれており、実際に介護施設に訪問しながら「現状の業務仕分け→ICT・介護ロボット等の活用→業務オペレーションの整理」の3段階で進めるのが特長。
本紙「シルバー産業新聞」で毎号、地域特集を掲載
本紙「シルバー産業新聞」で2022年から開始した人気企画「地域特集」。毎号1つの都道府県の介護保険や高齢者介護にスポットを当て、行政や地域に根差した法人の取り組みを紹介しています。