総合事業へ多様なサービスの参入促進 工程表作成に向け今夏議論集約

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総合事業へ多様なサービスの参入促進 工程表作成に向け今夏議論集約

 第1回「介護予防・日常生活支援総合事業の充実に向けた検討会」(座長=粟田主一東京都健康長寿医療センター研究所副所長)が4月10日に開催され、多様な介護予防サービスの整備など市町村の総合事業の取組を活性化するための検討が始まった。

 同検討会では、市町村の総合事業に住民主体の取組など多様な主体の参入促進を進めるべく、具体的な方策や中長期的な視点に立った取組の方向性を議論し、総合事業の充実に向けた工程表に盛り込む内容を検討する。

 冒頭、厚労省の大西証史老健局長は「総合事業の多様なサービスや一般介護予防事業においては、通いの場など地域住民の主体的な参画が欠かせない。地域住民は、介護保険の被保険者として支援の客体だけでなく、地域づくりや日常生活の自立に向けて支援を担う主体としての役割が期待される。本検討会で、そうした法令上および運用上の位置付けを検討していきたい」と述べた。

 現状は住民主体の取り組みなど多様なサービスの充足が遅れており、実施市町村の現状をみると、予防サービスから移行した従前相当サービスの割合が高く、多様なサービス展開が課題になっている。

 訪問型サービスでは、従前相当サービスが92.3%の市町村での実施に対して、多様なサービスについては、サービスA(基準緩和)は51.3%あるものの、サービスB(住民主体)16.7%やサービスC(短期集中型)22.5%、サービスD(移送)4.0%に止まっている。

 通所型サービスも同様の傾向にある。また「その他のサービス」においても、「見守り」7.5%や「配食サービス」19.6%などに過ぎず、いずれも未実施は1349市町村におよんでいる(20年度)。

 事業所(団体)数でみると、従前相当の割合は、訪問型サービスで17年74.1%→20年67.3%へ、従前相当以外は同25.9%→32.7%と、従前相当以外の割合が増加しているももの、従前相当が3分の2を占める状況にある(表)。21年改正において、「総合事業の弾力化」と呼ばれるサービス対象者をこれまでの要支援者と事業対象者に加えて、要介護者まで拡大することや、サービス単価の上限を市町村の判断によって引き上げる余地の拡大を行ってきた。

 同日には、総合事業の取り組みが早かった奈良県生駒市の事例について、検討会委員でもある同市田中明美特命監から、詳細な説明が行われた。

 同検討会は次回、5月31日に各種団体等のヒアリングの後、6月~8月にかけて月1回ペースで開催し、工程表の作成に向けて盛り込むべき内容の検討や活性化の方策、中長期の取り組みの方向性を検討していく。

(シルバー産業新聞2023年5月10日号)

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