安心して安らげる福祉用具を静岡から発信 筋緊張緩和やポジショニング、拘縮予防をサポート 丸井商事

安心して安らげる福祉用具を静岡から発信 筋緊張緩和やポジショニング、拘縮予防をサポート 丸井商事

安心して安らげる福祉用具を静岡から発信 筋緊張緩和やポジショニング、拘縮予防をサポート 丸井商事

 静岡県静岡市にある丸井商事(井木英之社長)は、今年創業65年を迎え、長年培ってきたウレタン加工技術を活かして様々な寝具や福祉用具を開発してきた。2012年には「やすらぎと、楽しさと、健康のために」をテーマに、利用者の良質な睡眠や、健康維持を支援する介護用品ブランド「RAKUDES(らくです)」を立ち上げ、介護施設と現場のニーズに合わせた開発に取組んでいる。

介護現場で感じた、車いす上の姿勢の課題

ハバック腕置きクッション

ハバック腕置きクッション

 介護ブランドから最初に発表したのが、特別養護老人ホーム竜爪園(静岡市)と、静岡県工業技術研究所と共同開発した、円背で前のめりになっている人、体が傾いてしまっている人、拘縮がある人の車いす上での安楽な姿勢保持をサポートするクッション「ハバック 腕置きクッション」だ。

 「地域の介護施設からポジショニングをやりたいから来てほしいといわれて行ったのがきっかけ。初めて介護施設を見学した際に、車いすを利用している人や、車いす上で寝たままの人の多さに驚いた。また、理学療法士が、拘縮の利用者へポジショニングを行っている時、少しずつ利用者の表情が穏やかになる姿を見て、利用者が笑顔になって、職員にとっても使いやすい用具を開発する必要性を強く感じた」と振り返る。

 同製品は、身体に触れる部分(緑色)にストレッチ性のある特殊生地、外側は安定性のある生地を採用。使用時はクッションを開いて生地を伸ばしながら体に合わせることで、多様な体型にもフィットする。中材には安定感と生活感を考慮してポリエステルの綿を使用。腕をしっかり保持するとともに、万が一汚れた際には丸洗いも可能。

 車いすの付属品としてテクノエイド協会の福祉用具貸与マーク取得済。2013年には「グッドデザインしずおか ユニバーサルデザイン賞」、15年には「関東地方発明表彰『発明奨励賞』」を受賞した。

 「車いす上での姿勢が安定することで、読書や食事などの作業がしやすくなったと好評いただいている。自宅だけではなく、デイサービスにも持っていくなど欠かせないアイテムだとの声をいただいている」と話す。

ハバック腕置きクッションの使用例を動画で解説

問題行動があった利用者の睡眠が安定して、穏やかな生活に戻る

ハバック上向き寝

ハバック上向き寝

 このほか、拘縮、円背の人の上向きで寝をサポートする体位変換器「ハバック 上向き寝」は、ウレタンを細かくした特殊開発素材「ナジーム」とビーズを合わせ、本体をふれば自在に動き、押すと素材同士が絡み形状を安定させる。拘縮がきつい人でも、中の材料が移動するのでその人の体に合わせて自然に調整される。少し横を向いたときにも頭をしっかり支えることで、枕からのずり落ちを予防。

 「拘縮や円背の人は仰臥位が取りにくい。また、褥瘡予防のために、横向きになることもあるが、上向きに寝る姿勢は筋緊張をほぐしてリラックスすることができ、拘縮予防としても活用いただいている」と説明する。

 肩甲骨の下まで支えられるよう生地を長くし、体位変換時に体をしっかり支える。取っ手は上左右の3カ所あり、調整もしやすい。

 施設に移る前に在宅で暮らしていた男性は、家族へ殴る蹴る等の行為があったが、ハバックをつかって仰向け体勢での睡眠環境を整えたところ、リラックスしたのか問題行動が落ち着いた。

 「この人は日頃の睡眠不足によるストレスが蓄積し、問題行動に繋がっていた。家族から『ちゃんと寝ることができて、いつもおじいちゃんに戻った』と泣きながら伝えられたことが忘れられない。私たちも枕が変わるだけで眠れないことがある。自立の人から重度の人でも使いやすく、ポジショニングをする人にとって直観で使いやすいデザインにしたことで、誰でも快適な睡眠姿勢を整えられる用具として活用頂けている」と話す。

ハバック上向き寝 仰臥位

日本人の体形に合わせた使いやすいポジショニングクッション

緑色の「ポジクッションT」は日本人の体形に合わせて開発...

緑色の「ポジクッションT」は日本人の体形に合わせて開発された体位変換器

 同社商品のうち、病院や介護施設での活用も多いのが、日本人の体形に合わせた「ポジクッション」。耐熱タイプのポジクッション(緑色)は、オートクレーブ105度の滅菌まで対応。感染対策が必要な現場でも広く活用されている。

 京都府にある特養「五十鈴荘」らが監修の元、流動性がありながら、押せば安定する特殊素材を活用した寝姿勢ポジショニングクッションとして、産官学で開発した。ベッド上でのポジショニングの他、人工透析時の腕置きや、車いすでの姿勢保持など様々な場面で使用される。

 井木社長は「これまで、介護施設など多くの人に協力いただきながら、利用者に安心と安らぎを届ける商品開発に取組んできた。今後も現場へのヒアリングを継続して、今の介護ニーズに合わせた変更やリニューアルにも対応していきたい」と語った。

 問合せは同社ホームページ(https://www.marui-jp.net/index.htm)または(☎054-366-1612)まで。
(シルバー産業新聞2023年3月10日号)

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