ケアプラン1表の記載、迷っていませんか?/石山麗子(連載32)

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ケアプラン1表の記載、迷っていませんか?/石山麗子(連載32)

 厚生労働省から発出された介護保険最新情報Vol.958(以下「Vol.958」)では、居宅サービス計画書の標準様式例(2表を除く改定様式)が示された。この様式の位置づけは、あくまで標準様式。必ず使用しなければならないわけではない。

 とはいえ厚生労働省から示された様式を、易々と無視することもできない。準拠するのが自然の流れだから、介護支援専門員は真摯に対応しようと努力する。ゆえに悩みは尽きない。特に第1表「利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果」だ。ケアマネジャーや関係者があげる声に耳を澄ませるとA~Fが聞こえてきた()。
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 厚生労働省は、今になってなぜこのような対応をしたのか。批判する関係者やケアマネジャーもいた。しかし、よく見ればこの項目名は、従来の記載要領の内容に合わせたに過ぎない。厚生労働省から見れば、むしろ関係者やケアマネジャーの反応に驚いたかもしれない。なぜこのような行き違いは生じたのか。

 介護支援専門員研修の指導内容を思い出してほしい。講師から「利用者の意向を、ケアマネジャーの言葉に転換せず、そのまま書きなさい」。そう指導された記憶はないだろうか。少なくとも私はそう習った。つまり研修では記載要領が示す「利用者の意向を踏まえた課題分析の結果」を記載すること、その記載方法を指導してこなかった。一方、ケアマネジャーは、記載要領を手元に置き、基本に立ち返りながらケアプラン作成をしてこなかった。都道府県や保険者もそのことを指摘しなかった。

 では、今後の取り扱いはどうなるのか。法定研修は今年度、次期カリキュラム改定に向けた委員会が設置される。記載要領に則った指導内容へ変更しないという選択肢は、もはやないと見ている。ケアプラン点検なども、記載要領に則って実施されるだろう。

 となれば、今困っていることへの回答が欲しい。以下は私なりの答えだ。少なくともA・B・Cは、介護保険制度の常識に照らしてみればありえない。基本理念から自明だ。加えて行政文書という観点からみても法(理念)を通知(記載要領)が覆すことなどありえない。Fはケアプラン作成のソフト会社との交渉次第。要約力は言語化能力の一つ。厳しい言い方だが、相談援助職の専門性としてケアマネジャーの責任だ。つまりケアマネジャーが具体的に示してほしいのはD・Eということになる。

 長寿社会開発センター出版の「居宅サービス計画作成の手引き」を推薦する。同センターでは現在、「Vol.958」の記載要領に対応した七訂版を準備中だ。執筆・監修は、現任の主任介護支援専門員を中心とし、記載要領の改定に関連した研究事業(Vol.977)の委員、「適切なケアマネジメント手法の策定」の研究事業(Vol.992)の委員など、保健医療福祉の多職種、行政経験者で構成されており、多角的に議論されている。メンバー構成から想像すると記載要領はもちろん、ケアマネジメントに関連する最新の知見も盛り込まれた内容が期待できそうだ。出版は年内の見込みになっている。

 「Vol.958」で示した標準様式について厚生労働省は、ケアマネジャー向けの講演で「徐々に対応していけばよい。」と説明している。であれば焦って表層的な書き方論に終始せず、これを機に専門性の向上に活用するのが賢明だ。

 例えば先に紹介した書籍を参照しながらケアプラン作成するも良し。書籍等を議論のテーブルに置き、ケアマネジャー同士、多職種、そして保険者と意見を交わし、互いの共通認識をつくりあげていくこともできる。

 さて、ここまでの話をまとめよう。標準様式・記載要領改定の真の成果とはなにか。ケアマネジャーが書き方に迷わないこと、だけではない。ケアプランは多くの者の共有ツールだ。誰にも理解される記載とはどのようなものか。その問いへの正答はケアマネジャーだけでは出せない。しかし連携の要だからできることがある。関係者と議論する場をつくり、共通認識を得て、それに基づくケアマネジメント実践に繋げること。それが真の成果だ。
(シルバー産業新聞2021年8月10日号)

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