コロナでもあきらめない パッド見直しから始まった排泄ケア改革
自立支援・重度化防止において、排泄ケアは離床・トイレ誘導などによるADL維持・向上、またスキントラブルの予防が求められている。ユニ・チャーム(東京都港区、高原豪久社長)が開発した「ライフリー 一晩中安心さらさらパッド Skin Condition」は、2018年発売後、世界初の摩擦・ずれ力を低減する機能が評価され、3000カ所を超える病院・施設が使用する大ヒット商品。このほど、医師の評価により推奨意向が一定基準を満たす商品に付与される「AskDoctors」の認証を取得した。3月に同製品を導入した特別養護老人ホーム大和園白鳳(奈良県香芝市)では、感染予防を機に排泄ケアの見直しを実践。本人・職員の負担が軽減したことで日中活動、コミュニケーション向上につながっている。
医師100人の97%が勧めたいと回答した尿とりパッド
また、ドライメッシュシートは表面側の穴が大きく、吸収体側の穴が小さい設計。長時間・多尿量であっても尿の逆戻りをほとんど起こさず、夜間も安心して使用できる。同社が掲げる①自立排泄の推進②夜間良眠と離床の促進③スキンケア――の3つのコンセプトを体現した製品だ。
今年5月には、医師の評価により推奨意向が一定基準を満たす商品に付与する「AskDoctors」の認証を取得。▽開発背景▽商品に関する研究データ▽実商品の確認――をもとに客観的な評価を行った結果、実に医師100人の97%、看護師500人の99%が同製品を勧めたいと回答、高い評価を得た。
ライフリーとの出会いが理想の排泄ケア目指すきっかけに
最初は交換回数が少なくなることへ懐疑的な声もあったと、ケアワーカーの中井香南さんは振り返る。「一番の心配は、長時間の着用で漏れや肌トラブルが本当に起きないかということ。また、これまでの介護経験から『手抜き介護』と受け止める職員も一定程度いました」。
しかし、使用していくうちにこれらの懸念は払拭。尿漏れ・スキントラブルはほとんど発生しなかった。実際に使用してみるとその吸収スピードに驚いたと内本さん。「一度に大量の排尿があっても、素早く吸収するので外側のおむつへ漏れ出ることがありません」。交換回数が減ったことで負担軽減の実感も広まった。
業務の見直しでトイレ誘導・離床支援が活発に
例えば、パッドの活用+トイレ誘導などで日中の交換が減った利用者の場合、今までベッドで寝ていた時間を食堂で過ごすようになった。「介助側の人員体制にもよりますが、通常だと必要な利用者全員へおむつ交換を行うとだいたい1時間弱です。これが1回減るだけで負担感はかなり変わります」(大年さん)。
負担が軽減したことで、個別対応力アップに貢献。「利用者がトイレに行きたいと思っているとき、はっきりと意思表示をしなくても動きから尿意を察知できるようになりました。今までは余裕がなく、見過ごしていたケースが多かったかもしれません」(内本さん)。トイレ誘導も増えてきたという。
中井さんも「普段は車いすで生活している利用者が『ちょっと歩いてみたい』と希望しても、今までは難しかった1対1の付き添いに時間がとりやすくなりました」と説明。トイレ誘導、歩行訓練の機会創出によるADLの維持・改善、そこからさらなる日中活動量のアップといった好循環ができはじめている。
利用者との会話弾み明るい雰囲気に
「今回の取組で利用者とじっくり話をする時間が増えた結果、習慣や好き嫌い、過去の人生など、その人の新たな発見が次々と出てきました。接点はあっても、職員が忙しくて余裕がないため観察や気づきが行き届いていなかったのだと気づかされました」。