ねんりんピック新聞 2023 in 愛媛 インタビュー ラグビーフットボール

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続けるからこそ、ケガをしない身体に松前町 大西和人さん(75)

 県内唯一の40歳以上チーム「思惑ラグビーフットボールクラブ」の会長を務める大西和人さん。前会長の父の後を継ぎ5年目になる。ここ数年はコロナ禍で試合もまともに組めず、練習で使用している高校のグラウンドにも入れなかった。「今は試合ができることや、小・中学生との合同練習が何より励みになります」と話す。約50人を束ねる。最年長は94歳の「ゴールドパンツ」。女性メンバーもいる。

 1971年設立、50年以上の歴史を持つ同クラブ。「愛媛のラグビーの発展」へ、指導者の育成や、学校など競技人口の裾野拡大を行う団体が前身だ。今もその活動は脈々と受け継がれ、ラグビースクールの手伝いや、合同練習も定期的に行っている。
 大西家は父、和人さん、息子、そして孫3人(中2、小3、小1)のラグビー一家。孫3人がラグビースクールに通う日は、送迎で忙しい。スクールのコーチ陣の多くは思惑メンバーの後輩。練習を見学するたびに、色々と口を出したくなるのをぐっと堪えるそうだ。

 愛媛県で全国大会出場最多46回を誇る新田高校の出身。ラグビー部の2年先輩には日本代表の選手・監督を務め、サントリーの創成期を築いた山本巌さんもいた。「足を痛めると『走れば治る』と言われた時代。思惑でも、その感覚のままプレーしている人たちが多い。60代は70代にもタックルができる。ガンガンくる」。
 大西さん曰く、年をとっても運動を続けられるのは、ラグビーの競技性にある。「身体の接触が特に多いスポーツ。経験を積むごとにケガをしない身体のぶつかり方、転び方が身につく」と強調する。この日同席した思惑メンバーの平木明生さん(74)も「小学生のラグビースクールで最初に教えるのが転び方の練習です。これを知らないと顔から地面に落ちて擦りむいたり、脳震盪を起こす危険性があります」と述べる。前転が上手にできるようになったと親からも喜ばれるそうだ。

 社会人で10年ほどブランクはあったが、40歳になる年に先輩の誘いで思惑に加入した大西さん。大事にしているのが、感覚と実際の動きのズレをどれだけ埋めるか。「若い時のイメージで動くと、走っても抜けない、タックルをしても捕まえきれない、ボールを蹴っても失速するといった経験を誰もがします」。
 大西さんも50歳になった頃に、そのズレを感じることが多くなった。「感覚を動作に近づけるということは、自分の身体を知るということ。そのためには身体を動かし続け、数年かけて修正していかなくてはならない。多くの人が競技を断念する分岐点です」。大西さんにとっては細くも長く、ラグビーを続けるためのモチベーションになったと語る。

 ねんりんピックは石川、福岡、鹿児島大会で出場経験あり。今年も思惑から60歳以上を選抜し大会にのぞむ。年代別キャプテンも務め、メンバー編成を担当する兵頭康一さん(68歳)は「1日2試合のハードスケジュール。みんなが楽しめる形でメンバーを組みたい」と話す。
 「兵頭さんに逆らうとポジションをもらえない。今は大人しくしています」(大西さん)。

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