管理者さん、オンライン研修の技術とマナーは大丈夫?(石山麗子/連載31)

NO IMAGE

管理者さん、オンライン研修の技術とマナーは大丈夫?(石山麗子/連載31)

 新型コロナウイルスの感染拡大から2年目。ケアマネジャーを対象とした研修はオンライン開催が主流となった。積極的にオンライン研修に参加する人ほど、慣れも早い。

避けたい、法定研修でのオンライン・デビュー

 他方、必要に迫られるまで参加しない人は、失敗の許されない必須の研修がオンライン研修デビューとなりかねない。つまり法定研修でオンライン・デビューするパターンだ。法定研修は遅刻・早退・途中退室等は、出席とは認められない。しくじれば欠席扱いになる恐れもある。オンライン研修への参加のマナーとルール、それを支える技術、あなたは大丈夫だろうか。

もはやパソコンは必須アイテム

 オンライン研修の参加での必須アイテムはパソコンだ。iPаdやスマホで十分!という人もいるだろう。むろん講義で、資料の見づらさを解消できる方法が他にあるなら問題ない。演習も含む研修となれば要注意だ。事例検討、グループ・ディスカッションがあるからだ。例えばZoomで行うグループ・ディスカッションは、ブレイクアウトセッションを活用する。画面はグループの人数に応じて分割される。だからスマホの場合、演習参加者の顔は限りなく小さくなる。相手をきちんと認識でない状況。それでよいのか。

 オンラインは対面と異なり「リアルな場」は共有しない。リアルな場に代わるのは、画面である。そう考えれば画面の重要性を理解できる。

 次に演習の場面を考えよう。対面研修で行う演習課題は、指定された時間内に、紙の研修資料に直接書き込む。オンラインの場合には、演習資料はWord等書き込み可能な電子媒体で配布される。Zoomを接続した状態で、決められた演習時間内にWord等の電子媒体に直接入力する。事例検討なら、これは書記の役割だ。電子的に入力したら、他の受講者と共有するために、画面共有機能を活用する。こうした一連の作業はパソコンなら対応可能だ。中には、パソコンをそろえるにはお金がかかる、という人もいる。厳しい言い方になるが、これは一年前なら許された言葉だ。今やオンラインでの会議や研修等への出席は特別なことではない。むしろデジタル社会では、コミュニケーションツールとして必需品である。

 100年に一度の激変のとき、自分が思うより時代の流れは速い。

参加する環境を整える

 参加する環境について二つ述べたい。一つは背景に映る情報である。事業所内で受講する場合、背景の物や人が映りこむことがある。ホワイトボード等に記載した当日の訪問予定や、事業所外の人に見られるのが好ましくない情報は画面に映らないよう、場所を選ぶか、背景画面のぼかしを入れるなど調整するとよい。

 二つ目は、研修参加の時間と場を確実に確保することだ。散見されるのは、事業所内で参加している研修の途中、他の人と話す様子、離席して他の用をしている、パソコンの前にいても研修以外の作業をする、食べ物をつまんでいる等だ。

相談援助職としてオンライン参加の態度を考える

 距離が離れ、相手から見えにくければ、研修への参加態度が疎かになる。つまり「バレなければ~~してもよい」という価値基準は、要介護高齢者を対象とする相談援助職として信頼できるか。オンライン画面いっぱいに資料が映っているから、自分は見えていないと思っているのかもしれないが、ギャラリー・ビューでは一部始終見えている。このような様子を見て、ある自治体の研修担当者は嘆いていた。

 法定研修では遅刻・早退・欠席、提出物の確実な提出等、参加態度が受講の要件の一つとなっている。オンライン参加の技術が未熟であるために遅刻・予期せぬ途中退室に至る人もいるだろう。また講師や研修事務局から見えていないと思って、研修以外のことをしている受講者もいる状況では、オンライン版の受講ルールや失格事由を整備せざるを得なくなる。

研修環境を整備するのは管理者の責任

 カメラ・マイク付きパソコンの台数の確保、従業者がオンライン研修に集中して参加できる環境をつくることは、管理者の責任である。例えば、朝礼で予定確認をし、受講中には受講者の前に紙で「オンライン研修中」など張り出すだけで、周囲は話しかけなくなる。参加態度に問題があれば、注意するのは管理者の役割だ。研修計画をたてて終わりではなく、目のまえで研修受講している姿が見られるようになった。それもオンライン研修の良さの一つである。
(シルバー産業新聞2021年7月10日号)

元のページを表示 ≫

関連する記事

続きを見る(外部サイト)

ケアニュースカテゴリの最新記事