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小さな変化を捉えるICF、 LIFE項目に

小さな変化を捉えるICF、 LIFE項目に

 「第33回全国介護老人保健施設大会 兵庫」が9月22日(木)~23日(金・祝)に神戸市(神戸ポートピアホテル、神戸国際会議場ほか)で行われる(現地・オンラインのハイブリッド)。大会テーマは「新たな時代をいきぬくために~今、老健ができること~」。メインプログラムの一つには、パネルディスカッション「全老健が考える未来の〝LIFE〟~サービスの質の評価、次なる展開へ~」を据えた。全老健会長・東憲太郎氏にLIFE活用の今後について聞いた。

 今年3月時点(4月審査分)で、LIFEにおける科学的介護推進体制加算を64%の老健施設で算定するなど、老健施設でのLIFE関連加算の算定割合は比較的高い水準で推移している。当協会でも改定以後、会員向けにLIFE相談窓口を設け、多くの疑義に対してQ&Aをつくり、国へも提供してきた。多忙な業務、不慣れな入力・記録業務に追われる中、現場の取組みを高く評価したい。

 一方で、こうした各種評価・記録が果たしてケアに役立つのか、といった疑問の声も多い。ケアの介入効果が分かるLIFEへ、今後のフィードバックを期待する。例えば経口維持(移行)加算を算定している利用者のADLの変化は、算定していない利用者と比べてどうか。また、「排せつ支援加算」で評価する排せつADLや「褥瘡マネジメント加算」で評価する褥瘡リスクなど、自事業所と全国を比較してみるのもよいだろう。

 より有用性の高いフィードバックを得るには、ADL指標の見直しも視野に置くべきだ。具体的には「ICFステージング」の活用を推奨したい。

 ICFステージングは、認知機能の14項目(5段階)で構成され、「余暇」や「交流」といった社会活動・参加に関する項目も含まれているのが特長である。いずれも、老健施設の基本的な役割である「在宅支援」に欠かせない情報となる。

 現行の評価指標であるバーセル・インデックス(BI)は自立・一部介助・全介助のほぼ3段階とシンプルな反面、小さな状態変化を捉えるのがどうしても難しい。入所期間が短い老健施設でケアの効果をLIFEから分析するには、BIでは限界があり、ICFステージングの方が優れていると考えている。

 また、FIMがやや医療職寄りであるのに対し、ICFステージングは異なる職種でもほぼ同じ評価結果が得られることが調査研究等で示されている。多職種共同で実施すれば、BIと比べて決して評価のハードルが高くなるわけではない(※)。

急性期・在宅からの受入れ強化を

 医療・介護同時改定となる24年に向け、老健施設も地域でのその役割を医療機関等へしっかりと示していくべきである。

 その一つが、急性期からの受入れ。現状、急性期病院の退院先(在宅復帰先)は回復期病院が主体で、老健施設へダイレクトに来るケースは多いとは言えない。しかし、退院患者が認知症を合併した要介護高齢者の場合、身体機能のリハビリだけでは認知症状の悪化につながってしまう。老健施設は「認知症短期集中リハビリテーション実施加算」に代表されるように、認知症の要介護者へのリハビリを提供できる施設。退院患者の状態に応じた在宅復帰先が整理されていくことに期待している。

 もう一つが、在宅からの受入れ。具体的には、21年改定で老健施設の短期入所療養介護に新設された「総合医学管理加算」(通称「医療ショート」)への取組みだ。同加算は医療ニーズが高い在宅療養者の緊急的な受入れを評価するもので、老健施設の在宅療養支援機能の強化につながる。「総合」とあるように対象となる医療ニーズの範囲に定めはない。

 かかりつけ医に対しては診療状況に関する文書を提供する必要があり、連携は必須となる。緊急入院が必要となった際、老健施設の医療ショートを選択肢に入れてもらえるよう、かかりつけ医への周知が求められる。

 急性期、在宅からの受入れに取組むことは医療費の削減にもつながる。当然、受入れる老健施設の医療機能の体制整備も不可欠だ。当協会では日本老年医学会と共同で「老人保健施設管理医師総合診療研修会」を実施、8月時点で約55%の施設管理医師がこれを修了している。

介護助手は人材不足への活路

 介護助手は身体介護を行わず、配膳やベッドメイク、清掃など介護の周辺業務を担う。人手不足の介護現場では、今後ますます欠かせない存在だ。私が施設長を務める老健施設(いこいの森)でも元気高齢者が数多く活躍し、介護専門職の負担軽減に大いに役立っている。

 今年度、厚労省で行われている介護ロボット等による生産性向上の取組みに関する効果測定事業では、介護助手が実証テーマの一つに位置付けられている。介護職員の負担軽減、これに伴い利用者への専門性を生かしたケアの拡充がどうはかられるか、成果に期待している。

 ただ、同事業の着地点が「人員基準の緩和」になることには違和感が大きい。というのも、実際は適切なケア体制を考えた結果、2~2.5対1で運営している現場が多いからだ。現行基準の3対1の線引きを議論したところで現実的ではない。むしろ、介護助手の配置を介護報酬の加算で評価するしくみを求めたいところである。報酬で介護助手の人件費を確保できれば、介護助手を積極的に活用する施設も増えるのではと考える。

コロナ影響調査を

 このほど「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」において「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」が創設され、介護現場のコストを圧迫している水光熱費やガソリン代、食材料費を補填するための交付金の活用が可能となった。しかし、窓口となる自治体の動きが鈍いと聞く。

 8月19日には全国老人福祉施設協議会、日本認知症グループホーム協会との3団体で、都道府県・市町村に対し同交付金の周知・活用を促す要望書を提出した。一日も早い支援策の検討をお願いしたい。

 また、物価高騰以上に老健施設の現場を苦しめているのが新型コロナウイルスの感染拡大(第7波)である。入所、短期入所、通所いずれも稼働率が軒並み低下している。次期24年改定に向けては定例の経営実態調査が今後行われるが、これとは別に、コロナ感染拡大による経営に対する影響調査をぜひとも行っていただくよう、介護給付費分科会でも主張している。

(※)厚労省「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)問19」で、BIのICFステージングへの読み替えは、一定の要件のもと可能とされている。

 (21151)

(シルバー産業新聞2022年9月10日号)

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