尾道さつき会 必要なDX化の取組 福祉こそ事業効率化を

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尾道さつき会 必要なDX化の取組 福祉こそ事業効率化を

 全国老施協、平石朗会長の施設、尾道さつき会を訪問した。福祉の心で民間企業の合理性による事業運営をめざしてきた。「制度の谷間を埋めることこそ社会福祉法人の役割」という根っからの福祉人が世の中のDX化の流れの中でPDCAサイクルを回し続ける。

 「住んでいる人がいる。そこに寄り添いながら、私たちは日々を過ごす。少しでもより良い未来をつくるために。医療・福祉の連携によって」。障がい児・者、高齢者が安心して暮らせる地域社会の実現をめざす社会福祉法人尾道さつき会(平石朗理事長、1982年6月認可)が掲げる理念。

 「哲学は生きること」と学んだ平石理事長は、卒業して尾道市の無認可作業所で障がい者の自立をめざす支援に身を投じた。78年から尾道を拠点に、障がい者の高齢化に伴い、特養を設立した。3年前から全国老人福祉施設協議会(全国老施協)の会長を務めている。

 2018年から介護保険制度に高齢介護事業所と障がい者事業所の垣根を低くした共生型サービスがスタートしたが、尾道さつき会は早くから障がい児・者(20事業)と高齢者(17事業)の2本立てで地域展開を図ってきた。法人の事業規模は年30億円程度。2010年にはYMCA運営の尾道福祉専門学校を引き継いで介護福祉士の養成を始めた。生活保護の被保護者を支援する救護施設事業も受託し、脱施設化の中で社会復帰率を高めてきた。

 「社会に支援を求めるニーズがあれば、それを受け止めるのが社会福祉法人の役割。これまで思いをともにして、研鑽・実践に頑張ってきてくれた職員や地域の人たちに感謝したい」と、平石会長は福祉事業への思いを語り、職員や地域の人々などの労をねぎらう。

必要な企業の合理性

 社会福祉法人には企業の合理性が必要だとして、年間数百万円かけて、リクルートとトヨタが出資するコンサルに依頼して、5Sやムリ・ムダ・ムラをなくしサービス向上と効率化に取り組んだ。この中で、業務の改善とともに、福祉用具の活用や研修体制の確立が進んだ。20年からは介護ロボットの北九州モデル導入による業務分析と改善計画を進めた。見守り機器は、一長一短ある機器の中で、他機器との連携が取りやすいタイプを導入された。17年から導入の5S(整理・整頓・清潔・清掃・しつけ)によって課題が見えやすくなった。何が不要で、現在何をしているのか。在庫がどのくらい必要か。
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ICT活用は介護現場の視点で

 村上佳代課長は、介護業務の効率化やICT活用に必要と実感した3点を掲げた。①働く職員にとってICT活用・効率化でどうありたいかの目的を明確にする②現場の職員を巻き込み主体にし、PDCAサイクルを常に回し続ける。業務改善とICT活用は両輪③現場で働く介護職員の考える力。必要性や効果を感じるよう評価は自ら行う。何ができるのか、自分たちで答えを出してもらう。

 一方、全国老施協では、固定会議システムを導入し、テレビ会議による会議の開催で、時間と経費が浮いた。「毎月の理事会で東京を往復していると、片道で4時間かかる。テレビ会議によって、老施協の会議回数は増えた。コロナ禍になって効果がより実感された」と平石理事長。

 老施協の介護保険情報のオープン化も進めた。約1億円の協会コスト減少となり、会費を1割減らした。

 全国老施協では、実証モデル施設を募集し、全国8ブロックで各1カ所を選定。ICT機器の導入やタイムスタディを実施し、専門のコンサルティングが受けられる。

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(シルバー産業新聞2022年8月10日号)

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