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ICT導入で自宅でも安心を ケアシェルパ

ICT導入で自宅でも安心を ケアシェルパ

 介護事業を展開するケアシェルパ(群馬県高崎市、佐鳥均代表)が運営する、「小規模多機能ホームあたがわ」(静岡県賀茂郡東伊豆町)は、利用者宅に設置するセンサーや、GPS機器など、ICT機器を導入したケアを実践している。既にテクノエイド協会によるモニター調査事業の受託で実証し、その内容は「福祉用具・介護ロボットの開発と普及2020」(厚労省、令和3年3月発行)にも掲載されている。導入のいきさつや効果、課題などを同社の佐鳥和樹氏に聞いた。

ICT機器導入のいきさつ
 熱川温泉で有名な東伊豆町は高齢化率が高く、20年10月時点では46%に及ぶ。団塊の世代が後期高齢者になる25年には50%近くになる見込みだ。しかも独居者が多く、長年住み続けた古民家に居住している例もよく見られる。都市部へ若年層が流出する傾向も続いている。

 我々には、認知症になっても住み慣れた地域で生活を続けて欲しいとの思いがあり、最初にグループホームの運営をはじめ、その後自宅で生活したいという高齢者の声に応えようと、14年に小規模多機能型居宅介護を用意した。認知症になると周囲は「そろそろ施設へ」と言うが、在宅でまだまだ暮らせる余地があるのではないかと感じていた。

 20年に展示会「ケアテックス東京」を訪れた際に睡眠見守りセンサー「まもる~の」(提供、ZIPCARE)、「簡単位置情報サービス」(提供、NTTドコモ)を見つけ導入した。遠方にいる利用者家族から「居室で倒れていないか」、「外で迷子になっていないか」などの心配の声が多かったためだ。

「まもる~の」の活用方法
 展示会に行くまではセンサーの役割がよく分からず、生活の様子が見える程度に考えていた。そのため「まもる~の」がベッドの寝具の下にシートを敷くだけで、夜間の離床や在床だけでなく、寝ている身体の微動も感知して睡眠が深いか、浅いかなど、睡眠の分析までできることに驚いた。

 本社のある高崎市の小規模多機能の事業所は高稼働で推移しているが、運営は難しいところも多いと感じていた。小規模多機能の利点はデイサービスや訪問介護ではサービス時間が制限されるのに対して柔軟に対応ができる点である。24時間の利用者ケアに対応するには、このセンサーは最適だと思った。

 センサーが必要な人は泊まりのサービスを利用する人で週に数回自宅に帰る人だ。施設での様子はわかるが自宅での生活はつかめていなかった。そこで、センサーで24時間観察したところ、家ではかなり危険な生活をしている実態が把握できた。

 例えば海沿いの家ではすきま風が吹き込み夜間に急に冷え込むことがあり、重い布団を重ねて寝ていることがあった。またヘルパーがエアコンを付けても、帰ったあとにスイッチを切ってしまう場合も見られた。「まもる~の」を使用したことで、室温を把握しその他の記録も含めて毎日、家族や事業者に知らせを届けることが可能になり、夜間の睡眠の質が分かったことで、医師に安定剤の調整を提案できたケースもあった。

 現在、泊まりの利用者で家での生活が安全かを「まもる~の」で実証している他、通いを中心に利用している中程度の認知症がある方を「簡単位置情報サービス」を合わせて使用し、日中と夜間の様子の把握に努めている。夜間の様子は医師にも伝えている。

ICT見守り機器の課題
 機器の設置や取扱いは難しいということはない。むしろ、職員のICTリテラシーが課題だ。その点は、まだ始まったばかりなのでこれからだと考えている。

 また、生活の様子が数値化されるがこれを分析する力が必要だと感じる。ICT機器のデータを分析するには新しい能力が必要でこれがないと使いこなせない。欲を言えば、機器メーカーがデータを出すだけでなく、分析し提案してくれる機能があるとさらに普及するように感じている。

 東伊豆町には小規模多機能は当社1カ所のみで、行政からも頼りにしてもらっている。狭い町なので町ぐるみで高齢者を見守ることができる。見守り機器を使ってみて分かったことは施設入所をしなくても、まだまだ在宅での生活を継続していけることだと思う。高齢者が在宅で継続して暮らせるように、ICT機器の価値を広く知ってもらいたいと感じている。

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