短期集中C型のツボ:専門職中心から本人主体の短期集中サービスへ/鎌田大啓(5)
2018年大阪府寝屋川市でのモデル事業において事業運営を担当した私たちTRAPEは、利用者のセルフマネジメント力を引き出すことができるような、それまでになかった新しい短期集中予防サービス(以下「短期集中型」)を構築し、専門職育成などを行いました。
目的はセルフマネジメント力を引き出すこと
ウェルビーイングな日常を取り戻すという本人の目的達成のため、まず主役である本人の過去・現在・未来、そして日々の現状や想いを聴き、様々な視点からの情報を本人と一緒に整理、解釈することが必要です。そこに本人の主体性が生まれます。
その上で専門職として本人がセルフマネジメントを高められるような働きかけをします。家族も含め、日常で繰り返してもらえるような取り組みを構築するのです。
専門職の役割は「対話」をすること
これは本来の専門性を一度、横に置き、真っ白なキャンバスの状態で本人のストーリーに向き合うということです。当初はどの専門職も大きく戸惑いましたが、私たちのメソッドの教育により実践が可能となりました。
提供時間についても、1回120分のうち最低30分は面談時間として対話にあてました。
本人のエピソードを深掘り
「スーパーでの世間話」から「外出・移動」「会話」「買い物」活動を承認・称賛
例えば「スーパーでAさんと久しぶりに世間話をした」とあれば、自宅からスーパーまでの距離を歩くこと、知人と話をすること、自分で買い物をすること、などがいかに介護予防として良いことか、個々の活動を承認・称賛するのです。これを繰り返すことで日常生活での活動量や範囲が少しずつ増え、元の日常を取り戻していただけます。
高齢者の多くは日常生活での役割を失い、他者から承認を得る機会からも縁遠くなっています。だからこそ何気ない日常生活に小さな承認を積み重ねてもらうことが大きなモチベーションと自信に繋がり、セルフマネジメント力を身につけることにつながるのです。
次回は、面談/対話の中で得た情報を具体的にどのように整理/解釈/リデザインしていくのか、その土台となるICFの活用方法についてみていきたいと思います。