日本健康・栄養システム学会 「栄養マネ強化加算」手引き作成
日本健康・栄養システム学会は厚生労働省老健事業の委託を受け、4月に「令和3年度介護報酬改定対応:介護サービスにおける栄養ケア・マネジメントの実務の手引き(初版)」を作成した。21年改定で評価が充実した口腔・栄養関連の加算等の取組方法を示したもの。「栄養マネジメント強化加算をはじめ、運用スキームや管理栄養士の確保など実践的な内容。ぜひ活用してもらいたい」と同省老健局老人保健課・日名子まき介護予防栄養調整官は話す。
加算収入3倍に
エネルギーに関しては、自主的なトレーニングや趣味、頻回なトイレなど、機能訓練・リハビリ以外のエネルギー消費を見落とさないことをポイントに挙げる。メッツ(METs)を用い、介護職員と協力し日中活動からエネルギー消費量を割り出し、1日の必要栄養量に上乗せすることで意図しない体重減少を防ぐことができると説明する(表1)。
例えば③の食事量が満たせなかった場合、「原因」と「対応例」を整理。【原因】食べられない→【対応例】自助具の選定、2回に分けて提供、動作のトレーニング、【原因】食事の認識ができない→【対応例】食器の選定、配膳位置、1品ずつ説明、好物の提供、を検討する。
さらに、同施設では食事中の誤嚥の有無や、咽頭運動の確認に「咽喉マイク」を活用。利用者と一定の距離を保ち実施できるため、感染対策上も有効だと評価する(表2)。
在宅では食環境の確認
同手引書内「通所サービスへの展開」では、居宅訪問による在宅の食事内容・食習慣の把握について解説。「誰と(または1人で)食べているか」「買い物や食事の支度は誰が(本人がどこまで)行うか」「食品の偏りがあるか」「義歯の不適合はないか」など、在宅ならではの確認項目も例示する。
また、アセスメントの事前準備として、サービス計画書で本人のニーズを把握することや、通所事業所、本人・家族に対し、必要な食・栄養情報について確認・同意を得ることが必須であることも挙げている。
(シルバー産業新聞2022年5月10日号)