施設3団体調査 自立支援促進加算 特養12%など
2021年度改定で広く加算要件に取り入れられた科学的介護情報システム「LIFE」について、施設サービスの算定実態が見えてきた。全国老人福祉施設協議会(老施協)、全国老人保健施設協会(全老健)、日本介護医療院協会の施設3団体は会員施設への調査をそれぞれ実施。科学的介護推進体制加算は特養50%、老健7割弱、医療院37%、また自立支援促進加算はそれぞれ12%、3割弱、17%と、いずれも老健での算定割合が最も高かった。
特養8割超がLIFE登録
LIFE関連加算の算定は報酬上のメリットに加え、当該加算の全国データ等を分析したフィードバックを受けられるのも特長。一方、データ入力等の事務負担増を伴うことから、算定の動向に注目が集まっていた。
老施協は9月15日に同協議会サイト「老施協デジタル」で7月時点の加算算定状況を報告。会員施設2252カ所から回答を得た。LIFEへ登録している施設の割合は81.2%。これについて同協議会小泉立志副会長は「LIFEを導入しなければ収入増は見込めないのが現実。これを多くの事業者が十分心得て、積極的な姿勢を示している」と述べている。
老健やや先行
また、介護医療院(5月時点、回答150施設)の場合、科学的介護推進体制加算は特養より低い36.6%だが、自立支援促進加算はやや高めの16.7%。同加算は医師による医学的評価に基づく支援計画の作成・実施・見直しが算定のポイントとなっており、常勤(換算)医師がいる老健、医療院がより算定しやすい可能性が考えられる。なお、特養の「常勤医師配置加算」は2.2%の算定割合にとどまっている。
自立支援促進加算には生活全体の視点が求められる。食事、入浴、排泄、日中活動といった各ケアを見直す過程や結果で、排せつ支援加算や褥瘡マネジメント加算といった各種加算の算定につながるケースも。自立支援・重度化防止に向けた複数加算を一体的に捉えることで、単一の加算だけでは難しいコストメリットも期待できる。
例えば、今改定で特養に新設され、LIFE提出が必須化されたADL維持等加算は、ADLの測定を科学的介護推進体制加算の提出項目の一つである、バーセルインデックスを用いるため、両加算の併算定が見込まれる。なお、老施協調査の算定割合19.1%は、今年のADL維持・改善の実績をもとに次年度の算定を見込む「申出」の割合であるため、まだ実績は上がっていない。
小泉氏もLIFEを「アセスメントの一種」と位置づけ。そこから良い計画・良いサービスにつなげるプロセスがあり、「一朝一夕に成果が得られるものではない。収益とは別のプラス面が見込める」と取組への理解を求めている。
LIFE以外の新設加算を見ると、安全対策体制加算は特養69.3%で、医療院34.7%の2倍。同加算は組織的な安全対策体制の整備を評価するもので、外部研修を受けた担当者の配置と、安全管理部門の設置が主な要件となる。
また、医療院に新設された長期療養生活移行加算は、1年以上療養病床に入院していた入所者とその家族等が、地域住民等と交流できるよう地域の行事や活動等へ積極的に関与している場合に算定できる。3月末に廃止された「移行定着支援加算」に代わる評価とされているが、算定割合は7.3%。「算定が少なく、移行定着支援加算の代わりにはなっていない」(日本介護医療院協会・鈴木龍太会長)。