時代の変革にさらされる

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時代の変革にさらされる

 コンピュータが人の能力を超える時点を、シンギュラリティ(技術的特異点)と呼ぶ。2045年に、パソコンの能力が人の知能を超える予測だ。いま高齢者から子どもまでがスマートフォンをもつ時代が到来したように、その時には、日常の道具はインターネットで結ばれ、AIの技術によって社会は一変していると言われる。仕事も様変わりしているかも知れない。

 3年前、薬剤師の世界に激震が走った。薬剤師の仕事だと思って疑わなかった処方箋にもとづく調剤業務を、国が「物的業務」に位置づけて、非薬剤師が行ってもよいとしたからだ。オートメーションの調剤機器を使うのもOK。薬剤師は処方箋どおり調剤されているかどうかを管理する。19年4月2日の国の通知「調剤業務のあり方について」(「0402通知」という)がそれだ。薬剤師は、「疑義照会」(医師に処方箋内容を問い合わせる)や「薬歴管理」など、「人的業務」こそ担うべき役割と責任だとされた。薬剤師の1日処方箋取り扱い上限40枚のルールの見直しも、ロボット調剤が可能になれば、やがて俎上に上るかもしれない。すでに国の規制改革推進会議WGにその動きもある。

 介護保険の21年改定で提起された「LIFE」の科学的介護情報システムの展開も、その内容を見れば、国は、現在介護サービス事業所で行われている介護を「自立支援介護」の方向へ見直す大改革を行おうとしているのが分かる。介護保険施設サービスのLIFE加算の「自立支援促進加算」では、入所者一人ひとりの毎日の離床や端座位の時間の記録を求めている。自動記録が可能な見守り機器の導入を前提とした加算である。45年を待たず、薬剤師も、介護サービス事業所も時代の変革にさらされている。

(シルバー産業新聞2022年5月10日号)

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