最北の野菜工場、就労意欲を創出

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最北の野菜工場、就労意欲を創出

 就労継続支援B型事業所「稚内市北光園」(運営:稚内市社会福祉事業団)は就労訓練の一つとして、施設内に設けた水耕栽培工場での種まき、収穫などの作業に携わっている。季節・天候を問わず1年を通して均一な環境で、良質なフリルレタスを栽培する。事業4年半で取引先は20店舗以上に。利用者の工賃アップにもつながっている。

 最北の野菜工場「ひかり菜」は完全密閉方式で無菌状態を保ち、温度・湿度を徹底管理。水と液肥、LEDライトで育ったフリルレタスは害虫被害や土耕の汚れの心配もなく、洗わずそのまま食べられる。えぐみが少なく、子供でも食べやすいと好評だ。日持ちも良く、袋に入れた状態で10日保存しても味がほとんど変わらない。

 北光園では毎日約350株、年間にして約8トンのフリルレタスを収穫し、稚内市6店舗、宗谷管内全域で20店舗以上のスーパーマーケット等へ納品している。

 就労継続支援B型の1日定員は40人。うち7人が水耕栽培を担当し、職員3人との10人体制で日々管理を行う。「通所のある日は必ず播種(種まき)・収穫作業が発生するよう、生産計画を組んでいます。季節や天候に左右されないので、収穫期を逆算しやすい」と総合施設長の満保和吉さんは説明する。

 フリルレタスは播種から収穫まで約35日。播種では液肥にスポンジを並べ、種子を一粒ずつ置く作業、また収穫では残り根と不要な葉を除去し、袋に詰める作業などを担う。「作業範囲は障がいの程度や経験値で個々に見定めますが、一番は本人の意欲です」と満保さん。利用者の発案で、下敷きのようなシートにフリルレタスを乗せると袋詰めが簡単になった。「作業効率面で、われわれ職員も新たな発見や勉強になる部分も多い」。

 土日の休みを挟んで月曜に来ると、芽がぐっと伸びている。それを見るのが楽しみで作業に参加する利用者も多い。また、取引先の店舗での収穫祭や販売イベントに出向き、直接販売を行う機会も。「自分たちが育てたものを喜んで買っていただく。働く原動力になっているのではないでしょうか」(満保さん)。店舗からも「1袋でも多く持っておいで」といつもエールをいただくそうだ。

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工賃引上げにも

 北光園はもともと身体障害者入所授産施設として開所。2011年に地域展開を目的として、就労継続支援B型へ事業転換を行った。入所機能をなくし、受け皿として地域に15人定員のグループホームを3カ所新設した。空いた入所スペースの有効活用が課題だった。

 また、通所での作業は病院、福祉施設のリネン類、衣類のクリーニングほぼ1本。「知的・精神障がい者の利用者が徐々に増加し、作業の多様性が必要だと感じました。そして利用者の工賃アップにもつながるようにしたかった」と満保さんは話す。事業を模索する中、恵庭市で同様の水耕栽培を行っている福祉施設に出会ったのが契機。17年に事業を開始した。

 最初は栽培装置2台でスタート。地元の店舗を呼んで内覧会を開き、その直後に2店舗との契約が決まった。利尻・礼文など離島の販売店にも営業。19年に栽培装置を3台増設し、現在の5台での生産体制となった。

 工賃はこの5年で月1500円程度アップ。全道平均1.9万円に対し、3.3万円と高い水準を維持している。

 「当所は就労継続支援サービスではありますが、来年度は一般就労へつながるような職場実習も検討中です」と満保さん。例えば、同法人の特養での調理補助員など、希望があれば叶えたいと話す。

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(シルバー産業新聞2022年3月10日号)

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