認知症高齢者が弁当の売り子に 「てへぺろキッチンカー」(連載175)

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認知症高齢者が弁当の売り子に 「てへぺろキッチンカー」(連載175)

 認知症の高齢者がキッチンカーで出向き、弁当を販売する。特別養護老人ホーム「ラヴィータ ウーノ」(大阪市)が発起し、行政や社協、地元飲食店などが参画するプロジェクト「てへぺろキッチンカー」が10~11月に同市此花区、福島区で全6回行われた。注文が聞き取れなくても、間違えても、時間がかかっても、お客さんも気にせず楽しめるというのがプロジェクト名の由来。コロナで疲れた地域を元気にする。

注文は糸電話 特別養護老人ホーム「ラヴィータ ウーノ」プロジェクト

 新型コロナの感染状況が少し落ち着き始めた10月26日、此花区役所の駐車場にオレンジ色のキッチンカーが登場した。時季柄、ハロウィーンの装飾もふんだんに。11時30分の開店と同時に地域の人たちが続々と来店し、12時には区役所の職員も並び始めた。

 この日のメニューはコラボ飲食店「ロドおじさん」のトルティーヤ。ふだん特養や小規模多機能を利用する認知症の高齢者4人が、注文や弁当の受け渡しなどホールスタッフとして活躍した。最高齢は96歳だ。

 「どちらから来られましたか」「注文をお願いします」「ありがとうございます」と応対する注文係の利用者。スタッフが付き添いながら、ゆっくり時間をかけてメニューと個数を繰り返し確認し、キッチンスタッフへ伝える。

 お客さんとの会話には長さ2mの糸電話を使用。ボランティアスタッフが手作りで1 5 0個用意した。ソーシャルディスタンスをとるためのアイデアだ。また、密集状態を避けるため注文は30分ごとの事前予約制とした。

 買ってくれた人には、オリジナルパネルで記念撮影のおまけ付き。この日弁当を買いに来た利用者の家族は「コロナ禍で直接会う機会がずいぶん減った。元気な姿が見られてよかった」と喜ぶ。また、お客さんの一人は「みなさんの笑顔が印象的。接客も丁寧で、とても認知症があるとは思えませんでした」と話す。

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地域活性化にひと役

 「高齢者と何かおもしろいことをやりたい、が原点」と、同プロジェクトを企画したラヴィータ ウーノ施設長の中川春彦さん。飲食店も支援し、地域全体を元気にしたいとの思いを形にしたと語る。

 プロジェクトは2019年に立上げ、同年2回開催。しかし、昨年は感染拡大の影響で実施ができなかった。今年はクラウドファンディングで運営資金を募り、目標の倍以上となる104万6000円を獲得。コロナ禍でもキッチンカーを使い、屋外で人数を制限すれば実施できると考えた中川さん。緊急事態宣言が明けたタイミングで開始した。

 現在、介護事業所のプロジェクトメンバーはラヴィータ ウーノ、小規模多機能「アルモニー此花」、グループホーム「こころあい海老江」。ホールスタッフを担う利用者はこの3事業所から抜擢する。「歩行がある程度でき、排泄に問題がない人を目安にしているので、対象者はかなり絞られてはしまいます」(中川さん)。ほかには此花、福島両区の社会福祉協議会や地域包括、認知症初期集中支援チームも参画した。

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(シルバー産業新聞2021年12月10日号)

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