生活満足度・孤立感を捉える「社会的処方」 21年改定で居宅療養管理指導に

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生活満足度・孤立感を捉える「社会的処方」 21年改定で居宅療養管理指導に

 医師の居宅療養管理指導は、計画的・継続的な医学的管理に基づき、ケアプラン策定等に必要な情報提供や、介護サービス利用上の留意点、介護方法等の指導・助言をケアマネジャーへ行った場合に、月2回まで算定ができる。21年改定では、心身面だけでなく社会的課題にも目を向け、地域の多様な資源へつなげることを通知に記載。医師がケアマネジャーへ渡す診療情報提供書の様式も見直された。

 参考とされたのが、宇都宮市医師会が19年から取組む「社会的処方」。生活満足度や孤立感、経済力などを聞き取る「問診シート」(図)を独自に作成し、医療機関の受診時などに活用している。

 同医師会の村井邦彦理事は「例えば、地域との関わりが薄い人は健康意識が低い傾向が出やすい。同じ指導でも、こうした生活背景で本人の行動変容に差が出る」と説明。今回の改定は「生活の不自由さに目を向けよ」という医療従事者向けのメッセージだと強調する。

 同時に、各種支援制度やインフォーマルを含む地域の各種サービスを把握しておくことも社会的処方の責務だと同氏。「新しいサービスを創るよりも、まずは既存資源をどう活かすか。ケアマネジメントと考え方の方向性は同じ」と述べる。

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健診との紐づけを試行

 今年度より、同医師会は健康診断の際にあわせて社会生活面のアンケートを行うモデル事業を開始した。同評価ツールより経済力、孤立度、満足度に関する6項目を聞く。

 健診結果とアンケート結果の関連性を見出すと共に、社会的課題を踏まえた特定保健指導の実施につなげることを目的としている。

 「特定保健指導は3~6カ月で終了する。その間に本人が自分で考え行動を促せるよう、地域の受け皿を示していけるようにしたい」と同氏。「現状、回答率も9割近い。1年続けると1万人は集まるのでは。分析の価値がある」と意気込む。

居宅療養は訪問診療と一体的に

 厚生労働省の統計によると、居宅療養管理指導は2016年から20年の4年間で、算定単位数が約1.5倍に増加。医師は全体の28%で、同4年間で1.4倍に伸びている。最も多いのが薬剤師。全体の38%を占め、1.8倍に増えている。

 村井氏が院長を務める村井クリニック(在宅療養支援診療所)は医師、管理栄養士による居宅療養管理指導を提供している。利用者は4月実績で、医師の場合212人(算定数385回)、管理栄養士の場合23人(35回)にのぼる。

 「訪問診療の患者は大半が要介護認定を受けている。開始時は要介護2~3が多い。病院の退院時カンファレンスの場に担当ケアマネも来ているので、そこで在宅サービスをほぼ固めている」(同氏)。このため、訪問診療と居宅療養管理指導は同時に開始するケースが多いという。

 同クリニックでは、年間300人以上の患者へ訪問診療を提供。訪問件数は約5000件で、うち往診300件を含む。1人あたりの診療期間は平均で23~24カ月となっている。

口腔・栄養の潜在ニーズ高い

 一方、管理栄養士の居宅療養管理指導は認知度が低く、「食事制限」のイメージが払拭しきれないため利用に至らないケースがまだまだ多いという。同氏は「在宅要介護者には低栄養(リスク)状態の人が多く潜んでいる。本来は訪問診療と同時に介入し、早期に予防していかなくてはならない。誤嚥性肺炎を繰り返し、食べられない状態になってからの相談では遅い」と強調。訪問栄養の必要性は十分あると述べる。

 同クリニックには言語聴覚士が所属し、訪問リハビリテーションでの口腔リハが強み。管理栄養士と連携した食支援、フレイル予防にも力を注ぐ。また、日本栄養士会が認定する「認定栄養ケア・ステーション」の登録も受け、介護予防教室や一般向けの栄養講座など、地域活動にも熱心だ。

(シルバー産業新聞2021年8月10日号)

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