協同福祉会 定期巡回県内12カ所で展開
大和郡山市に本拠を置く社会福祉法人協同福祉会(大國康夫理事長)は、「寝たきりにさせない自立支援ケア」をモットーに、定期巡回サービスなどを中心に、県内7市で在宅介護事業を展開している。
法人では06年から「あすなら10の基本ケア」を掲げ、利用者が住み慣れた地域で最期まで暮らせるよう、寝たきりにさせないことを目指し、生活能力の回復・維持を図るケアに努めている10項目のうち2、3番目には、「床に足をつけて座る」「トイレに座る」ことを挙げ、排泄の自立に重点を置いたケアを目指す。
「せっかく家へ戻れても、おむつをしたまま、寝たきりのままでは、在宅介護の継続は難しい」と大國理事長。「訪問サービスでは生活リハビリの視点に立ち、それまでおむつを使っていた人でも、座位を安定させ、ベッドからポータブルトイレへと安全に移れるようにサポートすることで、ほとんどの利用者が自力で排泄できる状態を維持できている」と話す。
排泄など生活の自立へ向けた支援を担うのが、定期巡回サービス。県内に12事業所を展開し、570人余りが利用、うち約7割が看護サービスを受ける。利用者宅にはテレビ電話を設置し、同サービスでの訪問と別に1日3回の安否確認を行い、職員が体調や生活上の変化などがないか確認する。
「定期巡回が在宅介護のベースを担い、必要に応じ通所や小多機などを加えて支援していく。定巡の各事業所では、自立支援介護を実践するために、介護福祉士5人、看護師3人、リハビリ職2人、管理栄養士2人ずつを目安に、各職種を揃えていっている」と大國理事長は話す。
介護福祉士は巡回訪問の中で、事業所のセラピストの助言も受けながら、日中に排泄や入浴などの生活動作の確認・指導を行う。排泄の自立が進んだことで、夜10時から翌朝6時までの間は、おむつ交換やトイレ介助などの巡回訪問の提供は少ない。
「専門性を備えた人材を育成・定着させ、質の高いサービスを実践していくため、他産業に負けない処遇が必須。そのためには、各拠点でさらに事業拡大を図る以外ない」と大國理事長。
22年度の売上は56億円。複数サービスを備え利用者も多い拠点では8億円ある一方で、小規模な拠点では2億円ほどとバラつきがある。「定巡などの利用者掘り起こしなどを進めて、1事業所平均5億円ほどまでもっていきたい」と大國理事長は話した。