効果確認できた特定施設 人員基準 最大「3.3対1」緩和
厚生労働省は11月30日、「介護現場の生産性向上の推進」をテーマに介護給付費分科会を開催。特定施設においては「ケアの質の確保」「職員の負担軽減」の両方に試行的に取り組み、効果がデータで確認できた場合は、指定権者(自治体)に申請し人員配置基準を最大「3.3対1」(通常は3対1)まで緩和できる方針を示した。そのほか、施設・泊まり・居住系サービスについても▽「利用者の安全・ケアの質の確保と職員の負担軽減のための委員会設置」の義務付け▽見守り機器や介護負担軽減のために見守りセンサーやICT機器などのテクノロジー活用で「成果を出すまでの一定期間」を評価するとともに、「成果を出した後」にもテクノロジー活用を進め、業務の明確化や見直し、役割分担(いわゆる介護助手の活用等)を行うなど、生産性向上の取組をパッケージで行っている先進的な施設・事業所への更なる報酬上の評価▽全床見守り機器導入の老健施設(ショート含む)にも夜間の人員配置基準の緩和▽認知症GHの夜間支援体制加算について、一定の要件を満たした場合は、加配する介護職員数の最低基準を0.9人に緩和――などの見直しの方向性を示した。
具体的には、①見守り機器▽インカム等の職員間の連絡調整を迅速化するICT機器▽介護記録ソフトやスマートフォン等の介護記録作成を効率化するICT機器(複数の機器の連携も含め、データ入力・記録・保存・活用までを一体的に支援するもの)――などの「業務の効率化、質の向上、職員の負担の軽減に資する機器」のすべてを導入(以下「テクノロジー活用」)。効果を確認した後にも、生産性向上ガイドラインに基づいた業務改善を継続的に行っている場合で、業務の明確化や見直し、役割分担(介護助手の活用等)など、生産性向上の取組をパッケージで行っている(以下「パッケージ取組」)②国が定める指針および統一的な様式等に沿って、事業者が特定施設ごとに一定期間の試行的な運用を行う③その結果、ケアの質の確保や職員の負担軽減等が図られたことをデータ等で確認する④指定権者(自治体)に当該施設で柔軟化された人員配置基準を一定の条件の下で適用することを届け出る――の手順を求めるとした。
人員配置緩和は介護職や現場から「人員削減は人材不足対策と逆行する」「サービスの質低下が懸念される」など慎重な意見も多い。入所・入居者像が介護保険施設と特定施設では異なることから、サービスの質が低下していないこと、職員の負担軽減の効果(負担増になっていないこと)がデータで確認できた特定施設に限定する考えを示した。
委員会設置・定期開催の義務化
ただし、義務化後も3年間の経過措置期間を設けるほか、既存のその他委員会との共催や、複数事業所間での共同開催も認めるとした。
テクノロジーの活用促進のための報酬評価
さらに「前述の取組の成果が確認できた場合」で、「パッケージ取組」を行っている先進的な施設・事業所を評価する考えも示した。
加算取得には、業務改善やケアの質の向上等に関する効果を示すデータ提供を求めることとした。
老健施設でも夜間の人員配置基準を緩和
認知症GH「夜間支援体制加算」 加配介護職の緩和
現行では(地域密着型)に同様のしくみが運用されている。