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《在宅医療》なんでも相談できる「かかりつけ医」を見つけよう/日下勝博さん(社会医療法人関愛会江別訪問診療所)

《在宅医療》なんでも相談できる「かかりつけ医」を見つけよう/日下勝博さん(社会医療法人関愛会江別訪問診療所)

 当診療所は訪問診療を専門に24時間・365日対応を行う在宅療養支援診療所(機能強化型)です。在宅患者約350人を訪問し、また「へき地医療支援センター」として毎週、道内の病院外来へ医師の派遣も行っています。

何でも相談できる「かかりつけ医」を見つけよう

 訪問診療を受けている患者のほとんどは要介護者です。がん末期や人工呼吸器が必要な神経難病の患者が多く、年間で160件ほど看取りも行います。

 他には、足腰が弱く通院ができない方、認知症の方などもいます。認知症で多いのは、引きこもりや受診拒否で社会的に孤立し認知機能が低下するケーマネジャーから相談を受けることもあります。

 こうした患者の在宅生活を、医学的側面から整えるのが在宅医療の役割です。「整える」とはつまり、治療だけではありません。若い人の場合は10〜20年先を見通した健康目標を立てますが、高齢者は100%の治癒を希望するよりも、残った人生をどう過ごすかが重要視されます。この過ごし方の意向を確認することが、在宅医療・ケアのスタートラインになります。

 以前、がん末期で延命措置を行わないとしていた患者が息を引きとった際、「なぜ心臓マッサージを行わないのか」と家族がパニックになったことがありました。治療方針の具体的なイメージを家族や関係職種と共有しておくことも大切です。

「何をしたいか」に寄り添う

 近年では、将来の医療やケアの方針に関する意思決定を支援する「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」も注目されています。とは言え、自分が死ぬときのことは、最初からはなかなか決められないものです。

 実際、私が関わる在宅患者でも、「動けなくなったら入院したい」か「最期まで家で過ごしたい」か、決定できない人もたくさんいます。

 生活環境や家族の状況も刻々と変化します。時間がかかってもいいですし、途中で気が変わっても構いません。大切なのは、今どう思っているのか、今何をしたいのかを、われわれ専門職が会話を通じて引き出し、必要なケアやサービスにつなげていくことです。患者に選択肢を与えることが、在宅ケアの質の高さなのです。

 この数年、新型コロナの影響で在宅医療を選択する患者が増加傾向にあります。理由の一つは、コロナ療養で病床がひっ迫し、在宅患者を受け入れきれないことです。もう一つは、感染対策で病院の面会制限が厳しくなり、病院だと家族が看取りに立ち会えないケースが増えたためです。

総合診療医は地域・在宅医療のキーパーソン

 医療を受ける患者の立場から、医療機関を選ぶポイントは、その医師が「かかりつけ医」になり得るかという点です。

 かかりつけ医とは、日頃から健康に関する相談ができ、他の専門職や地域資源と連携しながら生活全体を支援し、また必要に応じて専門の医療機関につなぐことができる医師です。特に、在宅医療の場合は▽いざというときに入院ができる▽夜間・休日に対応(24時間・365日)▽急変時の対応(往診)――などが具体的に求められます。

 ここで役割を発揮できるのが総合診療医です。各診療科の専門医のように特定の疾患を診るのではなく、患者の生活、さらには家族の状況や地域全体も視野に、本人と一緒に「生活の目標」を立てるマネジメント力を備えているのが特長です。これが、複数疾患をもつことが多い高齢者、要介護者のニーズに合致するのです。

 今後、一層需要が拡大する在宅医療・地域医療に欠かせないオールラウンダーです。在宅医療で困っている方、また今後の外来受診などに備え、お近くの「かかりつけ医」「総合診療医」を調べてみてはいかがでしょうか。

日下勝博さん
(くさか・かつひろ)
 2002年自治医科大学卒業。札幌医科大学、道立羽幌病院内科、江別市立病院総合内科部長、町立南幌病院院長などを務め、18年より江別訪問診療所院長。【専門分野】日本内科学会総合内科専門医、日本プライマリ・ケア連合学会指導医、医療経営学修士(h-MBA)など

《Key Word》

「在宅療養支援診療所」

 在宅療養患者へ訪問診療を行う診療所で、以下の基準などを満たす。
①24時間・365日体制で医師や看護師と連絡がとれる
②24時間・365日体制で往診、訪問看護が提供できる
③緊急時に入院の受入れ、または連携する医療機関への入院の手配が可能
④地域の医療機関や福祉サービスと連携をとっている
⑤看取り等の実績を定期的に報告している
 常勤医師数、緊急往診や看取りの実績などに基づき3区分。アドバンス・ケア・プランニング(ACP)
 将来の医療・ケアについて、本人による意思決定を支援するプロセス。主に▽生活・健康状態▽人生観や価値観、希望▽医療・ケアに関する希望――について、本人を主体に家族や近しい人、かかりつけ医、看護師、ケアマネジャー等の介護職、ソーシャルワーカー等の多職種で繰り返し話し合いを行う。

(介護の日しんぶん2022年11月11日)

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