介護食の展示・相談 バス待合室で 大学病院に「食の支援ステーション」

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介護食の展示・相談 バス待合室で 大学病院に「食の支援ステーション」

 新潟大学医歯学総合病院の敷地内、バス待合室に「食の支援ステーション」が設置されている。介護食品や口腔ケア用品、食器や自助具などが展示。専門職が常駐し、来訪者への聞き取りとアドバイス、サンプル提供などを行う。

 バス待ちついでに立ち寄る人や、外来からの紹介で相談に来る人、またステーションの存在を知り訪れる地域の介護専門職など、来訪者は年間で一千人強。同科歯科医師の伊藤加代子氏は「買ってみないと自分に合う食形態が分からない」「ネットだと1ケース単位で買わなければならない」など、介護食の困りごとはさまざまと述べる。

 その場で購入を希望する場合は、隣の売店で販売。また、聞き取りの結果、摂食嚥下の機能低下が進行している場合などは、必要に応じて主治医につなぐこともあるという。

 来訪者へのアンケートでは、嚥下対応だけでなく高カロリー食へのニーズも高かったと伊藤氏。「思っている以上に来訪者は低栄養を心配されている。介護食をもっと身近に利用できるよう、ステーションを通じて周知していく必要がある」と強調する。

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産学連携で地域の食支援

 ステーションを運営するのは「にいがた摂食嚥下障害サポート研究会」(井上誠会長)。2008年に県の健康関連ビジネスモデル推進事業として立上げ、ステーションもその時に設置した。翌年に同研究会を設立。①摂食嚥下障害者のQOL向上②介護関連用品等の質的向上――を主な活動目的とする。20年には行政が発展的撤退を行い、現在は産学連携での取組み。伊藤氏は同研究会の事務も務める。

 6月現在、個人会員は229人。医師、歯科医師を中心にコメディカル、介護職など幅広い専門職が登録する。企業会員は介護食品・食器具・口腔ケア用品メーカーなど18社。

 主に専門職を対象とした講演会を年2回開催。「摂食嚥下障害とサルコペニア」等をテーマに実施した5月の第1回講演会(Zoom開催)は161人が参加した。「オンライン化にしたところ、県外からの参加者も増えた」(伊藤氏)。

 これとは別に、患者本人や家族、地域住民向けの摂食嚥下セミナーも毎月2回、大学病院内で開講(現在コロナ禍で中断)。無料、予約不要で参加できる。会員企業と協働し、テーマに合致した商品展示・体験も。「職員がローテーションで参加し、講習に活かしている介護施設もある。ケアマネジャーや介護職の参加も多い」と同氏。研究・開発だけでなく、情報発信も重要な事業だと、研究会のスタンスを語る。

口腔リハビリテーション科・伊藤加代子氏

口腔リハビリテーション科・伊藤加代子氏

在宅診療の質高める「遠隔支援」試行へ

 新潟大学では県歯科医師会の受託事業の一環として、嚥下内視鏡による摂食嚥下機能評価と診断等を習得する「摂食嚥下治療登録医(嚥下内視鏡検査登録医)」制度を独自に設けている。

 「特に在宅では、摂食嚥下障害患者を専門的に診療できる医療従事者が不足している」と伊藤氏は説明。現在、登録医は県内23人。その多くが新潟市内に集中している。

 そこで、今年度から取組むのが遠隔システムを用いた教育・臨床の仕組み。診療現場と同大学をつなぎ、内視鏡の映像と患者の全身状態などを見ながら指示・助言等を行う。看護師やケアマネジャー、ヘルパーなど他の関連職種も同時接続し、生活情報を共有しつつ最適な支援につなげるイメージだ。

 システム構築に必要な資金はクラウドファンディングで調達。今後2年かけて実証研究とシステム構築、県内普及をめざす。

 現行では摂食嚥下障害の遠隔診療は保険診療対象外だ。「県内普及が進めば全国展開、いずれは同システムの医療機器認可も視野に入れている」と伊藤氏は述べた。

(シルバー産業新聞2022年7月10日号)

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