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【ケアマネアンケート】貸与種目の販売移行「反対」88%

【ケアマネアンケート】貸与種目の販売移行「反対」88%

 財務省は、次期介護報酬改定に向けて、福祉用具貸与の歩行補助杖、歩行器、手すりなどの廉価な種目について、貸与ではなく、特定福祉用具販売に移行すべきと主張。また、福祉用具貸与のみを位置づけたケアプランについては、報酬の引き下げを行うなど、サービスの内容に応じた報酬体系にすることも求めている。こうした財務省の考えについて、本紙は現場で働くケアマネジャーにアンケートを実施し、その評価を尋ねた。

Q1 貸与種目を販売種目に移行させることについて

 まず、財務省が主張する、歩行補助杖、歩行器、手すりなどの廉価な福祉用具の貸与種目を、特定福祉用具販売種目に移行させることの評価を尋ねたところ、財務省の主張に、「反対」と答えたケアマネジャーは、全体の88%、「賛成」は9%、「その他」が3%と、大多数のケアマネジャーが財務省案に反対の考えを持っていることが分かった。

 その理由を自由記述で尋ねたところ、「反対」の意見で特に多かったのが、利用者の心身状況に応じて、適時・適切に利用できる貸与のメリットが、販売に移行することで損なわれることを懸念する意見。「身体状況によって必要な福祉用具は変わってくるため、購入にするとその時々の身体状況に適した活用ができなくなる」(東京都、女性)などの意見があった。

 また、貸与の利点が失われる意見の中で多かったのが、販売になると、メンテナンスやモニタリングが受けられなくなる点を指摘する意見。「定期点検がなくなると、経年劣化による破損などで怪我をする危険性がでるのではないかと心配」(東京都、女性)などの声が届いた。

 その他の意見で多かったのが、「廉価といっても、利用者の負担が大きくなることには違いない。長く使用するのであればよいが、短期使用であれば不要品となる可能性も出てくる」(北海道、女性)など、利用者の経済的負担が増加する点を不安視する意見なども目立った。

 一方、「賛成」と答えた意見で多かったのは、「介護保険の財源確保のため。認定を受けてない方は自費で購入している」(和歌山県、女性)など、財源確保の観点から見直しに賛成する意見。また、「4点杖は購入でよいかと思う」(新潟県、女性)など、杖のみ販売に移すことに賛成する意見も多かった。

Q2 福祉用具単品プランの報酬を引き下げることについて

 財務省が主張する、福祉用具貸与のみが位置づけられたケアプランの報酬を引き下げる案に対しては、「賛成」と答えたケアマネジャーが6%だったのに対し、「反対」は91%と、こちらも反対のケアマネジャーが大多数となった。

 反対する理由で圧倒的に多かったのが、単品プランであってもケアマネジメントの手間は変わらないとする意見。「福祉用具貸与のみの利用者であっても、一連のケアマネジメントプロセスは必要。 やることが少なくなるわけではない」(富山県、女性)などの意見が寄せられた。

 また、「適切なマネジメントの結果においての福祉用具のみのケアプランに対し、報酬の引き下げは納得しかねる」(愛媛県、女性)など、単品プランであることだけを捉えて、報酬を引き下げる考えに怒りを隠しきれない意見も多くあった。

 このほか、「福祉用具貸与のみでなく、必要性が高くなくても他のサービス利用も追加しようという傾向が出てくるのではないか」(滋賀県、女性)、「必要の無いサービスを追加したプランが増える可能性がある」(群馬県、男性)など、報酬を引き下げることで、かえって公正なケアプラン作成を阻害する要因につながるといった声も寄せられた。

 一方、「賛成」の意見で目立ったのは、「あまり手間のかからないものについては、報酬引き下げがあっても良いと思う」(富山県、女性)など、ケアマネジメントの手間を報酬に反映してもよいとする意見。

 このほか、「介護保険が逼迫している中、この制度を続けていくためには仕方がない部分もある」(滋賀県、女性)といった意見や、「福祉用具のみのプランは福祉用具事業所が行う方がいい」(大阪府、女性)などの意見があった。

 アンケートは5月から6月にかけて行い、全国のケアマネジャー873人から回答を得た。ご協力ありがとうございました。

(シルバー産業新聞2022年7月10日号)

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