セルフマネジメント視点の口腔・栄養・運動アプローチ/鎌田大啓(7)

セルフマネジメント視点の口腔・栄養・運動アプローチ/鎌田大啓(7)

セルフマネジメント視点の口腔・栄養・運動アプローチ/鎌田大啓(7)

 一般的に実施されている短期集中サービスは「口腔」「栄養」「運動」が重要視されていることが多いです。元の日常を取り戻す短期集中サービスでも、これらが大切であるといえます。

短期集中サービス以外の日に力点

 ポイントは「専門職の正しさ視点」から提供するのではなく、対話を繰り返し「利用者個人の生活・人生というストーリー視点」で、構築要素として大切にするのです。

 重要視したことはセルフマネジメントの視点でした。なぜなら短期集中サービスは週1回であり、ここに来ていない日の過ごし方こそがキーとなるのだと思ったのです。

 短期集中サービス事業所は、元の日常を取り戻すために何が本質的に必要なことなのかを知り、経験し、そのことを自宅で行った結果について再確認する場としたわけです。

 セルフマネジメント視点の入った各種アプローチのポイントは、専門職の理想を伝えることを優先せず、専門職の専門性の高い視点はしっかり入っているけれど、基本的に利用者自身が「自分ごと」として一度その内容を咀嚼していただき、現実的に今できることのみを提供することにしたのです。

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口腔・栄養アプローチ

 私たちが運営した「リエイブルメント事業所」での実践についてご紹介します。

 口腔アプローチは、大阪府歯科衛生士会の協力で実施していきました。アセスメントシートを共に作り、自宅での宿題などについては複数パターンを作成しました。

 利用者と面談をし、相手の状況や思いを受け止めてアドバイスをし、その時点で実施できそうな宿題を提示し、セルフマネジメントシートで進捗管理やその後のフィードバックを行いました。

 栄養アプローチにおいては、2人の大学の先生から全面協力を得て実施しました。

 一緒にアセスメントシートをつくり、よくある正しい栄養指導ではなく、現在の生活状況や背景を徹底的に聞き、無理なく日々継続できるところを大切にすることにしました。

 今まで栄養指導というと厳しいことを言われると思い込んでいた利用者が、今回アプローチに入ってくれた管理栄養士の方々と楽しげに対話し「自分の今を否定されるのではなく、今の自分を受け入れてくれ、今後について一緒に考えてくれることが嬉しい」とおっしゃっていたことが強く印象に残っています。

運動アプローチ

 運動アプローチは、1週間の短期集中サービス事業所に来ている日を除く、残り6日も自宅でできるようにマシントレーニングではなく、自重トレーニングから始め、ステップ2~3はセラバンドトレーニングとしました。

 運動強度別にステップ1~3とし、全て壁に運動メニュー(やり方説明付き)を掲示しました。利用者はリハビリ専門職から伝えられた自分の現状にあったステップの運動を、壁の写真を見ながら実施していきます。運動のサポーターは、地域の有償ボランティアに実施してもらいました。

 リハビリ専門職が運動のポイントを繰り返し教えました。成果として、普段デイサービスや通所リハでマシントレーニングをしている利用者から「ここのトレーニングをした後全身が筋肉痛になった」などの声が多く寄せられました。3カ月のアプローチ期間で多くの人がステップ1~3まで運動強度をあげていくことができていました。

 セルフマネジメント視点の「口腔」「栄養」「運動」アプローチ。みなさんもチャレンジしてみてください。

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(シルバー産業新聞2022年7月10日)

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