ケアプランは一貫性を意識し、確認しながら書き進めよう

ケアプランは一貫性を意識し、確認しながら書き進めよう

ケアプランは一貫性を意識し、確認しながら書き進めよう

 ケアプラン様式変更に関する通知が発出されてから間もなく1年を迎える。しかし、今でも迷いを感じるケアマネジャーは少なくない。厚生労働省は徐々に対応していけばよいとの考えのようだ。これについて筆者は、何が最適かは理論や実践から編み出していく取り組みを尊重されたと解釈している。

ケアプランの記載―課題分析の考え方のヒント―

 1表「利用者及び家族の意向を踏まえた課題分析の結果」欄へのケアマネジャーの対応状況を研修等で確認すると、利用者と家族の意向も、それを踏まえた課題分析の結果も記載している人は3割程度にとどまる。書かない理由を尋ねると、「何を書いてよいかわからない」、「2表の『生活全般の解決すべき課題(ニーズ)(以下、2表のニーズ)」との書き分けがわからない」、「少ない枠におさまらない」という意見が聞かれた。本連載では、1月、2月連続で意向の捉え方を中心にみてきた。今月は課題分析を取り上げる。事例を示すとわかりやすいが、紙面上難しいためヒントになりそうな情報を交えて考えてみよう。
1表は課題分析(総括)を示す

 ケアプラン1表は、ケアプラン全体の方向性を示すものである。読み手にとって、まず方向性が理解できるよう項目ごとの要旨を簡潔に示す。だから1表では課題分析の詳細ではなく総4括4を示す。他方、2表のニーズは、各ニーズの長期・短期目標、その達成に必要な期間を数値化して想定できるレベルの具体化したニーズを記載する。

意向と課題分析、課題分析同士の関係

 両者は、かけ離れたものではない。読み手が1表の課題分析の結果(総括)と2表のニーズを見たときに「なるほど関連しているね」と納得できるように表現する。
 ケアマネジメントはニーズを軸にして展開する。チームケアが発展した今日、課題分析の結果を書面で明瞭に示せばチームケアの方向性はより明確化され、更に高い効果を期待でき、利用者の利益となる。

 ここで本連載の1月、2月の内容、そして今月号をまとめてみよう。課題分析は意向を踏まえて行う。1表の課題分析の結果と2表のニーズは関連しあっている。つまり意向から2表のニーズまで一貫性が保たれる(図1)。ケアプランを作成するときには、いつの間にかかけ離れたものにならないよう、常に一貫性を意識し、確認しながら書き進めよう。

 (19913)

課題分析を導き出す生活の将来予測

 課題分析に予測は不可欠だ。2018年以降、厚生労働省のケアマネジメントの流れ(ケアマネジメント・プロセス)のポンチが一部変更されことをご存知だろうか。アセスメントとモニタリングをご覧頂きたい(図2)。変更点は『予後予測』の表記が『生活の将来予測』になったことだ。ケアマネジャーの方々からは変更版の方がしっくりくるというお声を聞く。ケアマネジメントでは、医学的観点に立脚した予後だけでなく、その方の置かれた環境、ご本人の意欲や性格、ご家族の状況、経済状況等さまざまな交絡因子から生活の将来予測を行う。だから生活の将来予測だ。つまり課題分析は、生活の将来予測をするとどういう状況になりそうか?ということだ。

 ケアプランの記載方法の詳細に、これが絶対の正解だ!という統一見解はない。あくまで筆者の経験、論理で考えての意見である。実務研修のサブテキストとして使用されることの多い長寿社会開発センター「居宅サービス計画作成の手引き七訂※1」では、筆者は上記の考え方に基づき監修した。

 ケアプランは利用者の望む生活の実現に向け、私たちが作成する大切な書類である。記載方法に迷ってもよい。考え続け、その方法を作り上げていくことが何より大切だ。

※1.七訂 居宅サービス計画書作成の手引―介護支援専門員―長寿社会開発センターオンラインショップ(nenrin.shop)

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