24年3月期中間決算 コロナ禍脱し利用回復基調
2024年3月期中間決算(半年)が揃った。介護事業と福祉用具事業に分けて、主な上場企業の総売上、介護関連部門売上(対前年増減率)、同営業利益(対前年増減率、利益率)と、業績要因をまとめた。引き続き多くの企業が物価高の影響を受けたが、コロナ禍で減少した介護ニーズが回復する中、介護関連企業の収益は持ち直している。収益を圧迫する人件費が増大しているが、前向きな対応が続いている。
介護事業上場企業
24年3月期中間決算(半年)の介護関連部門の売上は、高齢者向け住宅等の6ホーム拡大、入居率の拡大や価格改定による増収があり687億円(前年同期比5.6%増)となった。開示セグメントの変更があり営業利益は36億円(同158.8%増、利益率5.2%)となった。
学研HD
23年9月期(年間)の医療福祉分野の売上は、785億円(前期比8.8%増)、営業利益は38億円(同21.3%増)と共に増加。サ高住4拠点を新設して、累計203拠点(1万361室)になった。入居率も過去最高の97.1%(同3.2ポイント増)。認知症GHは新設4拠点、累計307棟(5858室)となった。当第4四半期より連結化した市進HDの介護サービス事業を含有する。
セントケアHD
24年3月期中間決算(半年)の売上は、269億円(前年同期比3.0%増)、営業利益は16億円(同17.1%)。訪問看護は前期15カ所新設に加えて当期5カ所を開設した。
ソラスト
24年3月期中間決算(半年)の介護事業の売上は、264億円(前年同期比9.6%増)と増加、営業利益は、14億円(同6.7%増)の増収増益となった。賃上げによる人件費増などはあったが、デイ中心に利用者が増加した。23年9月末時点の介護事業所数は728。
綜合警備保障
24年3月期中間決算(半年)の介護事業は新規開設や入居率向上で売上高252億円(前年同期比11.1%増)、営業利益は6.9億円(同51.7%増)となった。共同で看取り予知技術などの標準ガイドライン開発を進める。
シップヘルスケアHD
ライフケア事業(給食・介護)の24年3月期中間決算は、180億円(前年同期比16.
4%増)、営業利益は12.9億円(同16.3%増)となった。光熱費高騰の影響を受けた一方で入居率を維持した。
シダー
24年3月期中間決算(半年)の全社売上は86億円(前年同期比6.6%増)、営業利益4.2億円。サービス別売上は、デイ18億円(同6.0%増)、有老ホーム61億円(同7.4%増)、在宅サービス5.5億円(同0.9%増)だった。
ヒューマンHD
介護事業の24年3月期中間決算(半年)は、58.7億円(前年同月比3.9%増)、営業利益は、稼働率改善による収益改善により、1.3億円(同405.4%増)となった。GHや小規模多機能の利用者が4.0%増えた。主事業は人材派遣や教育研修事業。
ケアサービス
24年3月期中間決算(半年)の全社売上は47.3億円(前年同月比4.8%増)、営業利益1.8億円(同48.0%増)。在宅介護34.9億円(デイ23.2億円、訪問入浴6.2億円、居宅介護支援2.0億円、訪問看護0.5億円等)。エンゼルケアは10.8億円。
ロングライフHD
10月25日付けで上場廃止した。86年大阪府堺市で訪問入浴をスタート。90年から有老ホーム事業、13年には会員制リゾートホテルを展開していた。
福祉用具上場企業
おむつを含む生活産業資材の24年3月期中間決算(半年)売上は商品の価格修正を行い3991億円(同2.4%増)となった。紙おむつの売上高は前年並の年間でおよそ100~150億円で大人用おむつが約65%を占めている。
ユニ・チャーム
パーソナルケア部門の23年12月期中間決算(半年)の売上は、3846億円(前年同期比6.6%増)、営業利益481億円(同0.1%減)の増収減益。日本を中心に価格転嫁により原材料価格の高騰を吸収したが、マスク業績の減退などが影響した。
中国では大人用紙おむつの需要が高く認知拡大と普及促進に取り組んだ。海外展開が大きく円安により22億円の増益効果があった。世界初のオゾン技術で吸収した再生パルプを吸収帯に利用した紙おむつなど環境面の対応を図る。
花王
23年12月期中間決算(半年)の大人用おむつ「リリーフ」を含むヘルス&ビューティケア事業の売上は1888億円(前年同期比6.8%増)、営業利益は160億円(利益率8.5%)。数量で1.2%増、価格で1.9%増になった。
大王製紙
おむつは「エリエール」「アテント」の2ブランド。おむつを含むホーム&パーソナルケア事業の24年3月期中間決算(半期)の売上は1443億円(前年同期比11.4%増)で26億円の損失となった。価格改定の浸透によって販売金額を引き上げた。
パラマウントベッドHD
24年3月期中間決算(半年)の売上は497億円(前年同期比6.1%増)、営業利益64.8億円(同4.2%増)の増収増益。クラウド上で管理可能にした体動センサー「眠りスキャン」を施設向けに拡販、体格の大きい高齢者に対応して長さの変更ができる在宅用介護ベッド「楽匠ウィング」を発売した。
トーカイ
介護用品のレンタル事業を含む健康生活サービスの24年3月期中間決算(半年)は349億円(前年同期比5.7%増)、営業利益30億円(6.1%減)の増収減益。病院関連事業の「入院・入居セット」の売上が好調。10月から稼働の埼玉工場の一時費用の発生もあり、レンタル資材費の増加等で減益に。
フランスベッドHD
24年3月期中間決算(半年)のメディカルサービス事業の売上は185億円(前年同期比1.0%増)、営業利益15.5億円(4.4%増)になった。左上記事に詳細。
日本ケアサプライ
24年3月期中間決算(半年)は137億円(前年同期比8.7%増)、営業利益9.9億円(同3.8%減)。倉庫の大型化などに対応して、レンタル2拠点新設、2拠点移転し、総営業拠点数は94拠点となり、福祉用具レンタル卸が堅調に推移した。
ピジョン
23年12月期第3四半期(23年1月~9月)のヘルスケア・介護事業の売上は35.9億円(2.5%減)、利益3.0億円(8.6%増)。
プラッツ
22年7月~23年6月の年間売上は63.1億円(前年比1.0%減)。営業利益1億円の損失。電動介護ベッドの総販売台数は、前年比13.9%減の4.2万台。当期の為替状況は1ドル134円97銭となり、前年と比べて22円を超える円安になった。
幸和製作所
24年2月期決算(半年)の売上は32.8億円(前年比3.7%増)、営業利益は5.6億円(同92.7%増)の回復となった。そのうち福祉用具の製造販売は28.8億円(同2.7%増)、レンタル・住宅改修8.5億円(2.8%増)、EC事業4.1億円(同14.0%増)。
(シルバー産業新聞2023年12月10日号)