フランスベッド池田茂社長 離床支援ベッド「マルポジ」施設・病院へ積極展開

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フランスベッド池田茂社長 離床支援ベッド「マルポジ」施設・病院へ積極展開

 今期22年3月期の売上高は2.9%増の540億円を見込む。介護・病院分野6割、家具・ホテル分野4割。家具分野は、来店客数は戻ったものの、コロナ前より少ないが接客時間が増え顧客単価が引き上がった。ホテルへの販売は落込みが大きい。7-9月期をみると、昨年に特別定額給付金があった分の影響はある。介護分野は、福祉用具貸与は順調だが、新製品の催事開催が困難になり、製品説明が十分にできない面がある。

メディカル事業部 小平市で新設

 22年5月に、東京都小平市に、介護・医療分野の新事業拠点「東京サービスセンター(仮称)」を新設移転する。延べ床面積は約2300坪で、メディカル事業部の本部、物流、営業がそっくり移転する計画だ。新宿の本社は本社機能に集中させる。営業エリアは、東部を除く東京19区と神奈川県の一部。福祉用具の洗浄・消毒を行い、2000品目以上の取扱商品のメンテナンスセンターとなる。配送トラックのポートが増えて発着台数が大幅に増えるほか、現在新宿区と西東京市にある営業拠点を一本化することで、よりスピーディな活動を進める。ケアマネジャー向けの研修スペースや福祉用具メンテナンスの見学コースをつくる計画。土地代を入れて約30億円かけた。

 今後、東京サービスセンターをモデルに、大阪や名古屋などのサービス拠点の全面見直しを目指して、現在、候補地の選定を行っている。

営業拠点の新設と社員教育の充実

 昨年から、兵庫県尼崎市、東京都昭島市、千葉県柏市、埼玉県川越市などに営業拠点をつくった。首都圏や関西圏、中部圏など後期高齢者の増大が見込まれる地域の営業拠点を増やしていく。

 営業スタッフは現在500人体制だが増員を図るとともに、スタッフ教育に力を入れる。福祉用具は取扱商品が多く、介護保険制度の理解も必要で、基本教育だけで入社から3年はかかる。1人1台のタブレットを使った教育システムを構築中だ。東京サービスセンターは、営業や業務の関する教育の発信拠点にしたい。

 同時に、M&Aにも積極的に取り組んでいきたい。

退院カンファの場で医療機器の検討も

 21年改定で、ケアマネジャーの退院・退所加算の要件として、必要に応じた福祉用具専門相談員の退院・退所カンファレンスへの参加が義務づけられた。ただ、コロナ感染防止のために、院内カンファレンスの開催が減り、出席要請の回数が減っている。退院前に在宅に戻る一時外泊も少ない。私の考えでは、在宅療養で必要になるのは、福祉用具だけでなく、医療機器も必要になる場合が多い。一歩進めて、それらを合わせて、退院退所カンファレンスの場で検討するのが効率的ではないかと思う。機能とともに、設置や取扱方法など、専門スタッフが説明できる。少なくても退院する人の数%に在宅での医療機器のニーズがあるように思う。

ケアマネ事業所 取扱事業所の説明・開示

 同じ21年改定で、ケアマネジャーは利用者に当居宅介護支援事業所による訪問介護、デイサービス、福祉用具レンタルのケアプランへの組込割合と、サービスごとの上位3事業所の名称と割合を説明しなければならなくなった。同時に、今秋からは「介護サービス情報の公表」で情報開示しなければならない。特定のサービス事業所に集中するのを防ぐのが目的だと思う。

 しかし、人気ランキングのように受け止められ、説明や掲示がされない4位以下の事業所が選ばれなくなる懸念がある。小規模事業所が不利になり、サービス事業所の新規開設も滞るかも知れない。開示する事業者数を増やしてもよいのではないか。

離床支援ベッド「マルポジ」

 昨年、5年の開発期間をかけて「離床支援マルチポジションベッド」を上市した。寝姿勢から立ち上がり姿勢まで4つのポジションに変形する電動ベッドで、離床を促進する。座位姿勢で足が床につく同様なベッドは世界にこれしかない。実物を見てもらってのアピールがコロナ禍で不十分だが、レンタルが着実に進んでいる。

 今月、施設・病院向けマルポジを発売する。ベッド幅を縮小して、当社として初の全方向移動型車輪「オムニキャスター」を付ける。施設の部屋間の移動がしやすくなる。21年改定の新設加算「自立支援促進加算」ができたことで、施設での離床への取組が始まるとみており、マルポジの普及につなげていきたい。

(シルバー産業新聞2021年10月10日号)

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