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高浜市「健康自生地」の取り組み 「自ら出かけたくなるような」居場所づくり

高浜市「健康自生地」の取り組み 「自ら出かけたくなるような」居場所づくり

 名古屋市内から電車を乗り継ぎ40分ほど、県南部に位置する高浜市(人口4.9万人、高齢化率19.3%)は、屋根瓦(三州瓦)の生産地としても知られるベッドタウン。早くから健康増進・介護予防に取り組んできた。2011年度からは「生涯現役のまちづくり」を掲げ、地域住民主体による高齢者の居場所づくりに力を入れている。

 定年退職した人や総合事業の通所サービスを卒業した人などで、地域に出かける場所がなく、閉じこもりがちな人は、要介護状態に陥るリスクが急速に高まっていく。「市は地域支援事業で要介護リスク者の把握や支援にも取り組むが、その前段階で、高齢者の居場所づくりに本腰を入れる必要があった」と同市福祉部健康推進グループ主査の原田優さん。

 そこで同市は11年に、一般介護予防事業として「生涯現役のまちづくり事業」を立ち上げ、市民や商工関係者、福祉関係者らからなる検討会を設け、どのような居場所が必要か協議した。ここでは、山口県の大規模デイサービス「夢のみずうみ村」代表の藤原茂氏を講師に迎え、同事業所の特徴である「高齢者の自己選択・自己決定」の考え方も参考にし、高齢者が自ら出かけたくなるような場所、地域の人たちとふれあえる場所を創出し、定着させていく取り組みを進めることとなった。

 市はそのような居場所を「健康自生地」と名付け、市民も参加する審査会で認定する仕組みを、12年9月から始めた。現在までに市内で120カ所が認定を受けている。健康自生地の種類は、①体操やニュースポーツ、社交ダンスなど体を動かして健康づくりができる②カラオケや切手アート、書道、木工など趣味を楽しむ③公共施設や店舗などでおしゃべりを楽しむ④喫茶店などで飲食を楽しむ――の大きく4つ。公共施設や公民館などで地域の高齢者主体で運営するところが大半で、地域の様々な商店なども休憩スペースの提供などにより自生地の認定を受けている。市は認定してから1年後にモニタリングし、趣旨に合った運営がされているか確認する。

市はPRに注力

年2回発行の情報紙で健康自生地をPR

年2回発行の情報紙で健康自生地をPR

 「市では立ち上げや運営に対して助成金を設けるが、各自生地は必要に応じ参加者から利用料を徴収するなどして、ほとんど自主的に運営がなされている。市は市民への自生地のPRに徹し、運営にはほとんど干渉しない」と原田さんは話す。

 市は特設のホームページ「たかはま元気deねっと」や、市広報誌と一緒に配布される情報誌「まいにちでかける でいでーる」(年2回発行)を通じ、健康自生地について周知を図る。また、健康自生地の一覧表を掲載した案内マップも市内の公共施設に設置している。

 自生地への参加を促すため、スタンプラリーも実施。専用のカードに押したスタンプ30個を一口として、年1回行われる抽選会に何口でも応募できる。自生地に参加する商店などが協賛し、健康グッズやマスク、金券などの賞品が提供され、多い年で8000枚を超える応募があるという。

男性高齢者も担い手で活躍

70 代エアロビ講師の快活な声が飛ぶ体操教室

70 代エアロビ講師の快活な声が飛ぶ体操教室

 住民主体の自生地では、担い手も高齢者がメインで、自身の経歴や特技、趣味などを活かすことで社会参加の機会にもなっている。毎週金曜日に市内の施設で行われる「悠遊百筋体操」では、長年エアロビクス講師として活躍する70代女性が講師を務め、ゴルフボールやペットボトル、エクササイズボールなどを使った運動などを1時間行う。巧みな話術で参加者をリードし、笑い声の絶えない自生地は、口コミで参加者が増え続けているという。

 「リタイア後に社会参加の機会を見つけづらい男性高齢者も、パソコン教室や木工教室、おもちゃ病院、囲碁や健康マージャンなど様々な場で、自分の趣味や技術、特技を活かして担い手として活躍している。自生地を担ってもらうことで、『社会参加による生きがいと役割づくり』という目的も果たしている」と原田さんは話す。

 市内の様々な商店も自生地として参加。店舗内の休憩スペースの設置が多いが、中には健康や薬の服用について講話を聞いたり相談ができる薬局や、決まった時間帯にサービスメニューを提供する喫茶店などもある。

 「今後の課題として、居場所提供にとどまる場所で、介護予防や健康増進につながる活動をいかに組み込んでいくか、また自生地に通う高齢者が、心身機能の低下などで通わなくなったなど、次の段階の支援が必要となった際、いかに早く次の支援に繋げられるようにするかも課題。今年度、市で課題解決チームを設けて、今後の自生地のあり方について検討していく」と原田さんは話した。

(シルバー産業新聞2022年6月10日号)

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