リカルド 「電話専属」で看護師の残業6割減

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リカルド 「電話専属」で看護師の残業6割減

 リカルド(埼玉県小手指市、若松冬美社長)が運営する訪問看護ステーション「トータルケア」は、昨年4月に外部からの電話対応専属部署を立上げた。

 電話専属スタッフは小手指(利用者約350人)、入間(同60人)の各ステーションに所属。出勤時は電話対応+軽微な事務作業、深夜・早朝は在宅で対応する。看護師資格は持たず、接遇・言葉づかい、問合せ内容ごとの対応、社内連絡方法は同社マニュアルに従う。

 事業開発担当の向山綾子氏は「電話口で何かを検討・判断することがないようにしている」と説明。特に体調や薬、治療に関する相談など、看護師が対応すべき用件は相手の時間の都合を確認し、折返し電話が原則。看護に関する情報収集も行わないよう徹底。緊急訪問など急ぎの依頼を除き、看護師への伝達はLINEなどで共有する。

 一方、訪問時間の変更や、ケアマネジャーからのケアプラン変更、新規依頼、サービス担当者会議の参加依頼などは電話専属スタッフがその場で了解。月30件ほど来る新規依頼も全て受ける。

 「相手をその場で待たせないことが大切。折返しにする方がお互いに無駄な時間がなくなる」と向山氏。電話スタッフの応対はごく短い時間で済むため、少人数でも運営しやすいのだという。

 専属部署の設置後は看護師への直接の電話が激減。看護師1人あたりの電話対応時間は1日90分削減、残業時間は月22時間から8.5時間へ大幅に短縮した。訪問が予定通り進めやすくなったと現場の評価も高い。「電話が来ると、訪問中や移動中に一旦手を止めざるを得なくなり、1日の予定が後ろにずれていく。特に利用者の状態に関する相談は、看護師もつい情報収集をしたくなり、電話がさらに長引いてしまう」(向山氏)。

「誰でも行ける」体制で利用時間を柔軟に

 時間変更依頼などに電話スタッフがその場で了解を出せるのは、利用者ごとに担当看護師を定めず、指定の時間に空いている看護師が訪問する方法をとっているため。「利用者にも理解いただいている。そのぶん、生活状況に合わせて訪問の時間は自由に決めてもらう。事業所側の都合で時間に縛りを設けてはいけない」と向山氏は強調し、「全ての看護師が、誰に対しても同じ看護ケアを提供する」が基本だと語る。

 小手指は常勤換算32人(22年12月時点)と大規模STで、同体制を維持できる一因。これは、看護師の働き方にも貢献している。1カ月単位のシフトは本人の希望をそのまま採用。時給は1分単位で発生し、これと訪問件数に応じて給与体系が決まる。

(シルバー産業新聞2023年4月10日号)

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