《ねんりん競技》朝は職人・昼は 店長兼サーファー/平野太郎さん(藤沢市)
自分の姿が描かれたサーフボードを見せてもらった。平野さんのお父さんが描いたものだ。いまも94歳で現役の画家。平野さんも美大出身で絵を描く。毎年3月に東京の国立新美術館で開かれる公募展に一緒に出展する。「父は風景画、人物画など多様ですが、私はほとんどが海の絵一本です」。10月までサーフィンの年間大会、オフに入ると展覧会の準備と忙しい。
チューニング技術は、美大在学中、工房でのアルバイトで習得。「当時、ボードにエアブラシで色を描く方法がハワイから入ってきたばかり。国内でデザインできる人がいませんでした。そこで『お前、美大だろ』と」。
最初はボードの上に立つこと(テイクオフ)が目標。できるまでに1カ月以上かかった。立てた瞬間の感動を超えるものは未だに訪れていないそうだ。26歳でプロ入りし、10年間の現役生活を全うした。36歳で引退する少し前にブランドを立ち上げ、3年後にショップをオープンした。引退後は店の経営もあり、しばらくアマチュアの大会にも出なかったという。
再び出場したのは2015年、全日本大会の第50回。節目ということで知人からの誘いを受けた。20数年ぶりの参加だった。以降、毎年出場を重ね、今年8月に初めてカナフクラス(59歳以上)で優勝。ねんりんピックに向け仕上げてきている。
(ねんりんピック新聞2022年11月12日号)










