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利用者負担増の方向性と19年間赤字続きの居宅介護支援/服部万里子(122)

利用者負担増の方向性と19年間赤字続きの居宅介護支援/服部万里子(122)

 2022年度に入り、財務省は市町村の第9期介護保険事業計画(24~26年度)策定に向け、▽利用者の原則2割負担と3割負担者の対象拡大▽要介護1、2の訪問介護やデイサービスを介護保険から市町村事業(地域支援事業)へ移行する▽福祉用具貸与のみを位置づけたケアプランの報酬引き下げ――などを提案している。

 また同省は合わせて、「ケアマネジメントへの自己負担導入」も提案している。高齢化とともに介護保険の利用者は増え続けているが、そもそもそれを見越して「税金を財源とする福祉サービス」から「公費と40歳以上の人が納める保険料が財源の保険制度」に移行したのである。制度開始以降、65歳以上が負担する介護保険料も上昇し続けている。

 そのような中で、社会に介護保険が定着したから「相談支援業務」のケアマネジメントに自己負担を導入するという提案や、サービスの種類が福祉用具貸与だけのケアマネジメントの評価を下げるなどの提案は、なりふり構わない給付抑制であり、納得できるものではない。

 厚生労働省の介護事業経営実態調査では、居宅系サービスや施設サービス、地域密着型サービスなど介護保険の23サービスの中で、19年間赤字が続いているのは居宅介護支援だけである。ケアマネジャー試験の受験者が激減し、募集してもなり手がいないのは当然だ。その現状を厚労省は放置してよいのだろうか。

 政府による経済対策として、介護職員の処遇改善(月額9000円相当)を図るため、今年2月から介護職員処遇改善支援補助金が始まり、10月にはそれに代わり「介護職員等ベースアップ等支援加算」が導入される。

 これらは、コロナ禍で苦闘する介護職員に対して必要な対応である。しかしこの処遇改善の対象から、なぜケアマネジャーが外されているのか。自粛生活で体力が衰え精神的な不安が増えた高齢者や、疲弊する家族に向き合い、毎月の支援を組み立てるケアマネジャーの業務に正当な評価が行われるべきだ。その評価が、19年間赤字続きの要因となっている介護報酬というのでは報われない。

 この状況の中で、ケアマネジメントに利用者負担を導入したとしても、経営が改善することはなく、かえって利用者の不満のターゲットになることも考えられ、ケアマネジメント業務に支障をきたすおそれすら危惧されるのである。

(シルバー産業新聞2022年5月10日号)

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