北海道の介護保険 定期巡回サービス全国最多
北海道は地域密着型の利用割合が高く、給付費全体の24.5%を占める(全国平均17.2%)。なかでも定期巡回サービスは全国トップ。サ高住併設、サテライト独自基準で整備が進む。
さらにサービス別で見ると、全国で断トツに多いのが定期巡回・随時対応型訪問介護看護。給付額は8.3億円で2位の福岡(4.0億円)、3位の東京(3.5億円)と2倍以上の差をつけている。給付費全体に占める定期巡回の割合についても全国で最も高い2.4%(2位:山口1.5%、3位:奈良1.4%、全国平均0.6%)。一方、通所介護は6.3%と全国で最も低くなっている(全国平均11.7%)(表)
一方、課題に挙げているのが、地域偏在の是正。定期巡回サービス事業所の大半は札幌を中心とした都市部に集中し、全道179市町村のうち、サービスの利用実績がないところも47市町村ある。
人員要件緩和したサテライト地域展開の足がかりに
さらに同市では独自基準による定期巡回サービスの「サテライト拠点」も制定。多店舗展開を後押ししている。サテライト拠点は本体事業所と同一区または隣接区内に2事業所まで設置が可能。本体と同一建物・同一敷地内は認められない。集合住宅の利用者へのサービス提供は原則不可であることも特徴。本体事業所は事業指定から1年以上経過していなければならない。
オペレーターは提供時間帯を通じて本体・サテライトのいずれかで常時1人以上を配置。看護職員は本体・サテライトをあわせて常勤換算2.5人を満たせばよい。また、サテライトから随時訪問ができない場合、運営上支障がなければ本体事業所からの提供も可としている。
介護職4.4万人増が必要
事業支援計画では、多様な人材の参入促進に向け福祉人材センター・人材バンクの運営や介護未経験者などへの入門研修を行うとともに、潜在的な有資格者等と介護事業所のマッチングなど、介護未経験者から有資格者まで幅広い人材の参入促進をはかる。
介護福祉士等の資格取得を目指す学生には修学資金の貸付を行うほか、介護福祉士養成施設に在学する外国人留学生に学費・生活資金等を貸付ける介護事業所を支援。さらに、小中学生等を対象とした福祉・介護に関する体験学習、地域住民向けの介護事業所等での実地体験などを通じ、福祉・介護への理解を促す。
池田町 住民主体の助け合い活動を醸成 多様な担い手の確保
10年には助け合い活動を促しサロンを開発する拠点「ROCOCO」(ロココ)を設置。加えて、通いの場への移動手段確保のためコミュニティバスの実証実験を行った。4年後にはロココのバスターミナル化が実現した。最終段階の15年に老人クラブで互助組織を立ち上げ、高齢者自身による介護予防を促進。生活コーディネーターを養成し、使いたいサービスを自分達で議論し決めてもらう場を提供した。
特徴の一つは、生活支援コーディネーターを訪問・通所で分けていること。訪問担当は支援者と利用者をつなぎ、「訪問B型」のマッチングを行う。通所担当は利用者を通いの場へつなぐことが主たる業務。子育て中の主婦なども担い手としてイメージしており、子供を連れて通いの場へ行くこともできる。
(シルバー産業新聞2022年3月10日号)