関シル 福祉用具の適切な活用へ情報発信

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関シル 福祉用具の適切な活用へ情報発信

 当協会は、主に近畿圏の福祉用具・介護サービス事業者などからなる公益社団法人だ。1988年に設立以来、サービスの質向上を目指し、会員相互の研鑽を図りながら、介護サービスや福祉用具などに関わる様々な情報発信を手がけてきた。

 2011年からは大阪府からの委託で、大阪府地域福祉推進財団との共同企業体として、大阪府介護・情報研修センターを運営している。また、関係諸団体と連携し専門職向け研修事業や展示イベントの開催、海外の展示会へも出展するなど、様々な形でより良い介護サービスの追求と情報発信に取り組んできた。

10年に渡り府から事業受託

 府の委託で運営する介護・情報研修センターでは、福祉・介護の専門職や市町村職員を対象に、スキルアップにつながる幅広い内容の研修を開催している。自立支援型ケアマネジメントの考え方、認知症ケア、福祉用具を活用した介護技術、住環境整備――など、現場第一線で活躍する講師を揃えた実践的な講義・実習で、多くの受講者から好評をいただいている。参加定員を減らすなど感染対策に万全を期し、会場での開催を行っているが、来年2月には初めてオンラインでの開催も予定している。

 体験型の福祉機器展示場では、専門相談員が常駐し、一般の方々や専門職などの様々な介護での悩みや課題を解決すべく、相談に応じている。ここでは、メーカー/流通企業各社の協力を得て常に最新の福祉用具やカタログなどが揃えられ、用具を学ぶ研修の場としても活用されている。また、専門家の講演や実機展示を行う「介護ロボット体験セミナー」も6月に開催し、好評を博したところだ。

 さらに介護・福祉専門職向けに、現場での適切な福祉用具の活用に向けた研修も行っている。テクノエイド協会との連携による、福祉用具プランナー研修やリフトリーダー養成研修をはじめ、福祉用具専門相談員更新研修、車いすの選定・調整・シーティング、安全な移乗介護など、幅広い内容で展開している。

2年ぶりにシンポジウム開催

 例年4月に大阪で開催される展示会「バリアフリー2021」では、厚生労働省の担当者や関係各団体の代表、当事者らを招いて、介護保険や福祉用具などをテーマに講演会・シンポジウムを開催している。今年はコロナ禍のため同展示会が8月に延期開催されたが、2年ぶりにシンポジウムを開催することができた。コロナ禍での福祉用具・介護ロボットの活用をテーマに、介護現場や研究開発などの立場から、感染対策を念頭に置いた今後の新たな介護の中でのあり方について、議論を深める場となった。介護人材が枯渇する中で、福祉用具・介護ロボットのさらなる普及や適切な活用へのサポートに向けて、今後も様々な情報発信に努めていく。

展示場の横のつながり強固に

 府介護・情報研修センターを受託運営していることから、全国の介護実習・普及センターや介護・福祉関連団体などからなる「全国福祉用具相談・研修協議会」の代表もさせていただいている。12月にはオンライン開催で、21年度の全国会議を行う。コロナ禍での感染対策をとりながらの、福祉用具の啓発・情報発信についてのそれぞれの取り組みを共有し、介護現場や地域へ向けたより的確な情報発信を図るため、意見を交わす予定だ。また、まだ協議会に参画していない実習・普及センターにも、この機会に参加を呼びかけていく。

 コロナ禍で外出を控え、フレイルが懸念される高齢者が増えている。適切な福祉用具の活用や住環境整備で、今できている生活動作を継続していただくことや、密にならない介護を提供する上でも、上手に福祉用具を活用いただくことが、今後の「ニューノーマル」下での重要な支援策の一つになりうる。

 今後も、公益社団法人として、関係各機関などと連携しながら、超高齢化社会の様々な課題を解決する一助となれるよう、取り組んでいきたい。

(シルバー産業新聞2021年10月10日号)

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