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災害支援は平時の準備から 支援計画と利用者情報管理のリスク分散を

災害支援は平時の準備から 支援計画と利用者情報管理のリスク分散を

 熊本県介護支援専門員協会(権頭重賢会長)は、県内のケアマネジャーの知識や技能の研鑽を通じ専門的な資質向上などを目指し運用する。近年の災害時には被災者の状態把握とサービスへの橋渡しにも尽力した。自身も2020年7月の豪雨災害の際に利用者の支援にあたった権頭会長に聞いた。

資質向上、自然災害援助にも貢献

 当協会は2006年に設立し、職能団体として活動を続け、20年に法人格を取得した。県内のケアマネが加入し、現在会員数は1000人を超える。

 主な取り組みは、定期的な研修開催を通じた、県内ケアマネの知識や技能の研鑽だ。

 県からの委託を受けて行う法定研修に加え、生涯研修部会による当会独自の研修や、リハ職や介護福祉士など他職種と連携した研修会も行う。

 過去に地震や豪雨災害が起こった際には、災害時の活動や課題点などについて事例共有を行った。

 日本介護支援専門員協会が主催する全国大会でも、実際に災害支援を行ったケアマネが事例発表したこともある。

豊富な災害支援での経験

 私自身が20年7月の豪雨災害時、被災地の人吉市で働いていた。

 人吉・球磨地域の多くは山村で、豪雨で多くの道路が寸断された。ようやく一部復旧し被災地に入れたのが、早くて3日経ってから。支援に先立ち、県庁と現地の地域包括支援センターと協議し、利用者の状態像の調査にあたった。
社会福祉協議会と連携しながら、当協会の災害支援チームから1日あたりケアマネ4~5人が約1~2カ月の間、のべ約300人の体制で支援を行った。

 被災地では、もともと自立していた高齢者が孤立した3日の間に要介護状態になっていたケースも見られた。被災による心身の負担が原因と考えられるが、中には、一旦避難所に行ったものの「自宅がよい」とすぐ帰宅し孤立を招いた事例もあった。

 災害時は、利用者像を把握できても、交通アクセスの不足などからサービスにつなげるのが困難。対応が後手に回ったり、情報不足で利用者を二重に調査したようなケースもあった。事前に情報を整理できていれば防げた問題もあり、ケアマネとしても多くの課題が残った。

連絡手段の欠如 人手不足に苦戦

 熊本豪雨では、地震の際と異なり電話局も大きく被災したため、固定電話を含め電話がほとんどつながらなかった。行政や医療機関、消防など、どこにも連絡できない状態が何日も続いた。

 通信が復旧しないと孤立している人がいるとわかっていても連絡できない。一軒ずつ調査にあたるため多くの時間を要した。

 さらに豪雨災害時は、新型コロナ感染拡大の時期と重なり、県外からのボランティアの協力も得られず、県民だけで対応し人手不足にも直面した。

 要介護者への対応として、地域包括支援センターと情報を共有し、行政も協力しながら、保健師などが中心となるメンタルのケアや施設利用も進めた。

 地区の社会福祉協議会の福祉避難所も利用したが人員に限界があり、県内各地に連絡し、人吉から熊本市内の施設に入居することもあった。

平時からの災害対策を徹底

 災害時には、行政と被災地域の包括支援センターに連絡し、人員の数を伝え、求められる支援の内容を確認する。普段から利用者の情報を紙と電子媒体の両方で持っているとよい。

 リスク分散のため、行政と地域包括支援センター、社会福祉協議会などで情報を共有しておくべきだ。どこかが被災してもいつでも情報を取得できる仕組み作りが大切だ。

 これまでの被災経験から、当協会では災害支援チームとして、県内11圏域それぞれに日本介護支援専門員協会主催の災害支援ケアマネジャー研修を修了したケアマネを中心に、1~3人ずつ配置している。

 平時から災害時の対応を協議し、いざという時に県協会の柱として活躍してくれることを期待している。

(シルバー産業新聞2023年2月10日号)

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