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【特別対談】物価高騰で試される「サービスの質」「生産性」の向上 メグラス 飛田拓哉社長/ユニ・チャーム メンリッケ 森田徹社長

【特別対談】物価高騰で試される「サービスの質」「生産性」の向上 メグラス 飛田拓哉社長/ユニ・チャーム メンリッケ 森田徹社長

 世界的な原油価格高騰や食料価格の上昇の中、慢性的な介護人材不足も抱える介護事業者がとるべき対策は。話題のテーマについて、医師で外資系コンサルティングファームへの勤務経験など異色の経歴をもち、住宅型有料老人ホームや小規模多機能型居宅介護、グループホームなどを経営する株式会社メグラス(名古屋市)の飛田拓哉代表取締役、社長の中島加織氏、紙おむつ等コンチネンスケア製品メーカーのユニ・チャームメンリッケ株式会社(東京都港区)の森田徹社長が対談した。

コスト高騰と生産性向上

ユニ・チャーム メンリッケ 森田徹社長: 昨今の話題は原油価格や物価高騰による影響です。特に、この数ヶ月で状況は激変したと言えます。メーカーは材料費高騰で、一部メーカーで値上げが始まっています。介護施設や通所サービスであれば、送迎車両のガソリン代とか、光熱水費や食材料費であるとか、あらゆるものがコスト高になる中で、いかにサービスを維持し、高めていくことが求められるようになります。 そうした状況であればこそ、生産者(メーカーや介護サービス事業者)が消費者(介護サービス利用者)のためにすることは、生産性を上げるしかないのです。

メグラス 飛田 拓哉代表取締役: そうですね。コストの上昇に対してどうするっていわれても、円安や様々な要因もあって、構造的なものになっているので対応が難しいですからね。為替や原油・物価、エネルギー価格高騰等により、これからは「コスト増を誰が負担をするのか」という状況になると考えています。光熱水費で言えば、1人当たり年間6万~7万くらい値上がりは避けられそうにありません。

 電気代は特に凄くて当社全体で月100万円上がりました。これまでも、あらゆる節電に取組んでいますが、せいぜい5%削減くらいで、それを上回るペースであらゆるものが値上がりを続けている。このままいけば、介護施設では、日々の介護サービスの回数を減らすなど、ステルス値上げをせざるを得ないようになるのではないかと思うほどです。

森田: それに加えて、介護施設等では慢性的な介護人材不足もあります。結局は、ワークシェアリングを介護ロボットやICT等のテクノロジー活用で、現場の時間を創出できるかにかかっています。

  生産性を高めるために介護ロボット・ICTなどを導入するのであれば、人間がする以上に何か新しいことができるようにならないといけない。内閣府の規制改革推進会議からは、介護職の配置基準をテクノロジー機器の活用により質の保持をしながら、職員にも負担にしわ寄せがいっていないこと等を前提に、介護職の配置基準緩和を目指した議論があります。

飛田: それについて、介護業界からは介護職の負担が増えることを懸念する声が起こっているようです。ただ、私は違った考えをもっていて、テクノロジー機器をフル活用して配置基準の緩和が認められたからと言って、経営側は介護職にとってブラックな職場にはしないと思います。

 「生産性が上がれば相応の報酬単価に引き下げる」という方針であればブラック化につながるかもしれませんが、基本的に、生産性が向上しても報酬の引き下げはしない方針のようですから、生産性を高めることで職員の給与引き上げにつながりやすくなる。

メグラス 飛田拓哉代表取締役

メグラス 飛田拓哉代表取締役

メグラス代表取締役。2001年名古屋大学医学部卒業。聖路加国際病院にて総合内科・緩和ケア・在宅診療に5年間従事し、米国ミシガン大学に留学、MBAを取得。帰国後、外資系コンサルティングファーム「ベイン・アンド・カンパニー」を経て、メグラスを設立。

介護現場に求められる「付加価値向上による生産性向上」

森田: 生産性をあげるやり方は一般的に2つあるとされていて、一つはコストを下げる、もう一つは付加価値を上げるです。でも昨今の状況下ではコスト下げるのは限界ありますよね。であれば付加価値を上げるやり方について、もっと取り組むべきではないでしょうか。

 たとえば「排せつ支援加算」に取組む介護施設が少しずつ増えてきている。とはいえ、そうした施設の方がマイナーな存在なのです。施設経営者からは「取り組んでも加算額は知れている」という声もありますが、何等か取り組む姿勢は大切だと思うのです。

メグラス 中島加織社長: 確かに。それがケアの質の向上に結び付くのですものね。

飛田: 先ほど付加価値を高めるっていう話がありましたが、介護っていうのが人生においてプラスに捉える人もいますが、一般的にはマイナスと捉える方が多いのでしょう。だからこそ、マイナスを打ち消すために介護保険サービス利用料を支払って、そのマイナスをトントンにしようっていうのが介護サービスだと思っています。どうしても介護は手間がかかるから、それをなんとかしたいと思っているわけです。

森田: なるほど。

飛田: でも、利用者や家族のニーズは多様なので、それに完璧に応えることは非常に難しいです。愛知県内で、住宅型有料老人ホームや小規模多機能型居宅介護、グループホームなどを展開している当社は、利用者の生活に関して全方位でサービスを提供することが求められるのですが、1人1人こだわりは違う。

 お茶の香りが好きな人がいれば、絵描くことが好きな人は「外が見えなきゃ嫌だ」みたいな要望をもたれている。そうした付加価値をどこまでカスタマイズして提供できるかと考えると、コスト的には採算に乗らないのです。

中島: そうした中で排泄ケアに関して言えば、つけ心地の良さとか、非常に訴求しやすいポイントになります。

 特に、夜間に起こされずに済むことは、すごくわかりやすい付加価値といえる。人手の薄い夜勤の介護職についても、取り換え回数が減ることは負担軽減ですし、利用者にとっても起こされることも減ることで日中も活動的で、機嫌よく笑顔が増えるのであれば介護職のやりがいにもなります。だから、排泄ケアに一生懸命に取り組む施設に対し、その費用分を払う人はいると思います。

森田: ありがとうございます。製品の良さというのは、科学的で論理的に証明しやすいですが、エモーショナルな部分はすごく説明しにくいのですよ。

 ただ、例示していただいたように、排泄ケアで満足のいく質のサービスが提供されるのであれば、エモーショナルな部分に訴求しやすいと言えるのではないかと思っています。ご利用者の満足度が高い排泄ケアが現場で提供され、その結果ご施設が適正なサービスフィとして訴求できるよう、弊社としてもしっかりとサポートさせていただきたいと思います。

ユニ・チャーム メンリッケ 森田徹社長

ユニ・チャーム メンリッケ 森田徹社長

ユニ・チャーム メンリッケ株式会社代表取締役社長。1985年3月早稲田大学商学部卒業。同年4月ユニ・チャーム株式会社へ入社。営業部門・企画部門を経て、2002年1月から2011年9月まで約10年間東南アジアにて経営職を担う。2011年10月より現職。

自立支援に求められる視点

飛田: 利用者のために取組んでも、評価されにくいものに自立支援と予防医学があります。医者の立場で言わせていただくと、実は予防医学のマーケットって、とても難しいですよ。

 比較的貯えがあり予防医学にお金買うことができる人は、そもそも自分で予防できる人なのですが、1番予防して欲しい人に限って「そういうことにお金を使いたくない」という人たちであるというジレンマがあります。自立支援も同じです。そもそもニーズがない中で、自立支援に関する加算をたくさん作ったところで、うまくいかないだろうという私見をもっています。
 たとえば海外では「歯科検診受けてないと、虫歯の治療が実費になる」などの施策をとっている例もあるほどです。

中島: 当社の利用者についても「なんとか自分のADLを向上させようと、リハビリを頑張る人」「どれだけ声かけても全然、頑張ってくれない人(やってもらうのが当たり前になってしまう人)」と2極化しているので、そこに当社社員がアプローチするのが難しいのも現実です。

 当社ではユニ・チャーム メンリッケのTENAシリーズを使っているのですが、リハビリなどで非常に体を動かしやすいおむつだと実感しています。おむつを使用していることが分からないほど、すごくシルエットがいいので、先ほどのエモーションという意味でも、そこはすごいなって思います。

森田: ありがとうございます。当社はCST(コンチネンスサポートチーム)活動支援で全国の施設様にお伺いしますが、皆様それぞれにより良いケアのための取組をされています。

 しかし、施設の当事者となると、ケアについて外部から評価されることがほとんどないので、自分たちの実施しているケアの良さをご存じない。ですから、素晴らしいことを伝えてさしあげる責任が当社にはあると思うようになりました。

メグラス 中島加織社長

メグラス 中島加織社長

「夜間に起こされずに済む排泄ケアへの見直しは、利用者にとっての快適と夜勤職員の負担軽減に直結する付加価値」と中島社長
本日はご多忙の中、有益なお話を戴きありがとうございます。

一同: ありがとうございます。

ユニ・チャーム メンリッケ株式会社(https://www.ucm-kk.com/
株式会社メグラス(https://meglus.co.jp/
(シルバー産業新聞2022年8月10日号)

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