注目の記事 PICK UP!

東京都 2040年に向けて健康長寿社会のモデル都市に

東京都 2040年に向けて健康長寿社会のモデル都市に

 各地域の介護事情や行政独自の取組み、地域を支えている注目の事業者・サービスなどを紹介する特集を今回からスタートする。初回は東京都。

 (19557)

【高齢者像の変化】

 東京都の人口は少子化の影響により、2025年の1423万人をピークに減少に転じることが予測される。一方で、高齢者の数は増加していく。高齢者人口は、25年には約328万人(高齢化率23.0%)、40年には379万人(27.8%)に達し、都民の4人に1人が高齢者となる見込みだ。併せて介護を必要とする高齢者も増加する。16年時点で56.2万人だった要介護認定者は、25年には約71.3万人に増加する。また、都内では高齢者の単身世帯の割合が大幅に増加していき、高齢者が一人で暮らすことが特別な姿ではなくなる。

【在宅の基盤整備】

 高齢者が自分らしく安心して暮らすために、東京都が取り組まなければならない課題は多岐に渡る。その中で特に重点的に取り組まなければならないのが、増大する介護ニーズに対するサービス基盤の整備と介護人材の確保だ。

 各保険者が推計した介護サービスの見込み量の集計を19年と25年で比較したところ、居宅サービスの見込み量は、訪問介護が+15.9%、訪問看護が+35.2%、訪問リハ+27.2%、通所介護+17.1%、通所リハ+14.1%、短期入所+17.5%、福祉用具貸与+19.6%、住宅改修+19.4%などとなっており、特に訪問看護や訪問リハなどの医療系サービスが増加する見込みとなっている。

 要介護高齢者の在宅療養生活を支えるのに必要な訪問看護については、管理者・指導者の育成や代替職員の雇用経費の補助のほか、都の独自事業として、認定看護師相当の指導者が配置された訪問看護ステーションを「教育ステーション」として指定し、そのステーションが地域の事業所に対して、同行訪問などを通じて指導・助言を行う事業なども実施している。訪問看護の整備が地域包括ケア実現の重要な鍵になると考えている。

【施設の基盤整備】

 施設サービスの基盤整備については、東京都の地価の高さがネックになっている。そのため、未利用の都有地を最大90%まで減額して貸与したり、国有地や民有地の借地料を補助する事業などを実施している。また、施設の整備費用の補助や不動産オーナーが所有する土地などに施設を整備して、事業者に賃貸する場合も補助する仕組みなども用意している。

 特養への入所申込者は、02年度から13年度までは4万人前後で推移していたが、入所要件が「原則要介護3以上」に見直された後の16年度調査では、3万717人と約3割減少した。その後の19年度調査では2万9126人と、前回調査からさらに約5%減少している。施設の基盤整備に向けた取組や在宅サービスの充実が入所申込者の減少につながっていると捉えている。

 ただ、これから先も施設サービスを必要とする高齢者は増加していく。そのため30年度末までに、特養は6.4万人分、老健は3万人分、グループホームは2万人分の定員確保を整備目標に掲げている。都民に対して、必要なサービスが確保されるよう、これからもしっかりと基盤整備を進めていきたい。

【介護人材の確保】

 保険者が推計したサービス見込み量を基に、介護職員配置率を乗じて、将来の介護職員の需要数を推計したところ、東京都では25年度に22万3022人の介護職員数が必要になる。一方で、現状のペースで供給できる介護職員は19万2073人にとどまるため、差し引き3万949人不足することが予測されている。

 東京都の場合、人口は多いものの、多様な業種があって働く選択肢が広く、業種間の競争が激しいため、介護人材の確保は容易ではない。こうした実態も踏まえ、中長期的な視点で、人材確保・定着・育成対策を総合的に実施していかなければならない。

 また、介護現場の革新を進めていくことが、質の高いサービスを継続的に提供できる仕組み作りに役立つだけでなく、介護業界のイメージを変え、人材確保にもつながると考えている。

 このほか、外国人介護従事者の受入れ環境の整備などにも注力していく。

【地域包括ケアの実現に向けて】

 現在、地域包括ケアシステムの推進と深化が各地で進められている。東京都が目指すべき地域包括ケアシステムを実現していくためには、前述のサービス基盤の整備と介護人材確保のほか、一人ひとりが介護予防・フレイル予防に取り組むとともに、社会とつながり、人との交流の機会を持ち続けることや、いくつになっても生きがい・役割を持って生活できる地域づくりなどが重要になってくる。

 主な取組としては、短期集中予防サービスに先駆的に取り組む保険者を後方支援し、効果的な介護予防が展開されるよう推進していくほか、コロナ禍でのフレイル対策として、オンラインツールを活用した介護予防・フレイル予防活動に取り組む区市町村に対し、補助率10分の10の支援事業などを行っている。このほか、東京都の強みである活発な企業活動、豊富な経験と知識を持った多くの人たちの力を活用し、地域活動を活性化させる「東京ホームタウンプロジェクト」なども実施している。

 2040年に向けて高齢者が輝く健康長寿社会のモデルとなり、「Cho-ju(長寿)」の言葉を東京から世界の共通語にしていきたいと考えている。

(シルバー産業新聞2022年1月10日号)

元のページを表示 ≫

関連する記事

続きを見る(外部サイト)

関連記事

  1. 【11月27日・千葉県】第15回千葉県福祉機器展2021

  2. 「全研ケア」設立、外国人人材受入れのスキーム提供 全研本社取締役 鷲谷将樹氏

  3. 包括ケアのかたち「富山型デイ」(182)

  4. へき地のオンライン診療、自宅外の公民館等でも受診可能に

  5. 米だけで炊きたてごはんの味 BCPの食料備蓄で注目

  6. あきた創生マネジメント LINE WORKSをフル活用

  7. 【速報】(地域密着型)介護老人福祉施設 2024年度介護報酬改定単価

  8. 東京都大田区のケアマネ研修 寸劇仕立ての動画を事業所に配信

  9. バタフライヒル細田 映像付き見守り機器で職員負担減

PAGE TOP