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短期集中C型のツボ:専門職中心から本人主体の短期集中サービスへ/鎌田大啓(5)

短期集中C型のツボ:専門職中心から本人主体の短期集中サービスへ/鎌田大啓(5)

 2018年大阪府寝屋川市でのモデル事業において事業運営を担当した私たちTRAPEは、利用者のセルフマネジメント力を引き出すことができるような、それまでになかった新しい短期集中予防サービス(以下「短期集中型」)を構築し、専門職育成などを行いました。

目的はセルフマネジメント力を引き出すこと

 短期集中型は3カ月の期間限定のため「サービス終了に近づくと利用者が専門職のサービスがなくなることに不安を訴える」という課題をよく聞きます。私たちは、その原因を①専門職による専門的なサービス中心(本人中心でなく、本人が受け身)②本人のセルフマネジメント力(自己選択・自己決定する自律力)が向上する体験を提供できていない――と捉え、本人と専門職の対話によって解決をめざしています。

 ウェルビーイングな日常を取り戻すという本人の目的達成のため、まず主役である本人の過去・現在・未来、そして日々の現状や想いを聴き、様々な視点からの情報を本人と一緒に整理、解釈することが必要です。そこに本人の主体性が生まれます。

 その上で専門職として本人がセルフマネジメントを高められるような働きかけをします。家族も含め、日常で繰り返してもらえるような取り組みを構築するのです。

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専門職の役割は「対話」をすること

 対話とは、事情や背景が違うひと同士が1つのストーリーに向けて言葉を交わすことで、互いの共通点や可能性に気づき、周囲と本人の新しい関係性を構築していくプロセスです。私たちの短期集中型では、サービスを提供するPT・OT、介護福祉士の役割をこの「対話」だと明確に定義しました。

 これは本来の専門性を一度、横に置き、真っ白なキャンバスの状態で本人のストーリーに向き合うということです。当初はどの専門職も大きく戸惑いましたが、私たちのメソッドの教育により実践が可能となりました。

 提供時間についても、1回120分のうち最低30分は面談時間として対話にあてました。

本人のエピソードを深掘り

 面談方法にもコツがあります。現在の生活における活動状況、体験内容、感じたことなど日常のエピソードを深堀りし、承認・称賛することで、可能性や自信を感じてもらい、徐々に自律的な活動内容へと後押しすることが大切です。私たちはこのデザインについて、対話をベースにしたアプローチという意味の「ダイアログ・ベースド・リエイブルメント・アプローチ(DRA)」と呼んでいます。

「スーパーでの世間話」から「外出・移動」「会話」「買い物」活動を承認・称賛

 面談/対話をよりスムーズに行うために開発したのが「セルフマネジメントシート」です。図の青枠には自主トレメニューがあり、できた日は○をつけます。赤枠に一言日記を書いてもらいます。短期集中に来る週1回以外の6日間、どこで誰と何をしたか、どう感じたか、など日常生活の印象を書いてもらうのです。この記載が最重要で、内容について、あらゆる角度からポジティブなフィードバックをするのです。

 例えば「スーパーでAさんと久しぶりに世間話をした」とあれば、自宅からスーパーまでの距離を歩くこと、知人と話をすること、自分で買い物をすること、などがいかに介護予防として良いことか、個々の活動を承認・称賛するのです。これを繰り返すことで日常生活での活動量や範囲が少しずつ増え、元の日常を取り戻していただけます。

 高齢者の多くは日常生活での役割を失い、他者から承認を得る機会からも縁遠くなっています。だからこそ何気ない日常生活に小さな承認を積み重ねてもらうことが大きなモチベーションと自信に繋がり、セルフマネジメント力を身につけることにつながるのです。

 次回は、面談/対話の中で得た情報を具体的にどのように整理/解釈/リデザインしていくのか、その土台となるICFの活用方法についてみていきたいと思います。

(シルバー産業新聞2022年5月10日号)

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