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24年改定案 入浴介助加算に研修要件追加

24年改定案 入浴介助加算に研修要件追加

 厚生労働省は10月26日に社会保障審議会介護給付費分科会を開催、通所系、短期入所系サービスについて24年改定の対応案を示した。通所介護(地域密着型、認知症対応型含む)の入浴介助加算(Ⅰ)については、入浴介助技術に係る研修の実施を算定要件に加える方針。一方、算定率の低い加算(Ⅱ)は医師等による自宅での入浴動作・浴室環境等の評価を、介護職員がICTを活用し行ってもよいとする緩和案を提示した。

通所介護

 通所介護の入浴介助加算(Ⅰ)(1日40単位)は、事業所で利用者の観察を含む入浴介助を行った場合に算定が可能。中重度、独居などで自宅での入浴が困難な利用者の安全な入浴を担保している。通所介護、認知症対応型通所介護では9割以上、地域密着型通所介護でも7割以上の事業所が算定している。

 今回、同省が着目したのは研修の状況。加算(Ⅰ)を算定する通所介護のうち、入浴介助に関する研修を実施している割合は59.5%と、約4割が未実施。また、研修の頻度も「数年に1回」または「年に1回」があわせて8割近く、より頻回な「半年に2回以上」は1割を切る。

 研修内容は「移乗介助の技術」が97.3%で最多。「リスク管理」(94.4%)、「利用者の意向把握」(87.4%)、「個浴介護の技術」(86.6%)と、いずれも介助技術に関する内容の実施割合が高い。一方で「個浴入浴計画の作成」(36.4%)、「ケアマネジャーとの協働方法」(44.9%)など、計画作成・運用に関する研修はいずれも半数以下に。

 同省は「より適切な実施が行われるよう見直す」として、加算(Ⅰ)の算定要件に入浴介助の技術として求められる研修の実施を追加することを提案。反対意見はなかったが、「前回改定で感染症予防のための研修など、様々な研修が義務化された。職員の負担増、オーバーワークにつながりかねない」(古谷忠之・全国老人福祉施設協議会参与)と慎重な検討を求める声もあがった。

加算(Ⅱ)の自宅訪問「介護職員+ICT」も

 入浴介助加算(Ⅱ)(55単位)は、利用者の自立支援に資する取組を評価するため前回改定で新設。加算(Ⅰ)の要件に加え、①医師等が利用者宅を訪問し、浴室における利用者の動作および浴室環境を評価②機能訓練指導員等が共同し、利用者宅を訪問した医師等との連携の下、個別入浴計画を作成③②の計画に基づき、個浴その他利用者宅の状況に近い環境で入浴介助を行う――ことを求める。

 「医師等」には医師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、ケアマネジャー、利用者の動作・浴室環境の評価ができる福祉用具専門相談員または機能訓練指導員、地域包括の担当職員、福祉・住環境コーディネーター2級以上が含まれる。

 算定割合は通所介護で12.2%。算定しない理由では「利用者の居宅を訪問し評価や助言等を行う医師等の確保・連携が困難」(32.7%)、「事業所の浴室構造上、個浴その他の利用者の居宅の状況に近い環境を整備することが困難」(22.0%)などが多かった。今回の改定案では要件①について、医師等の代わりに介護職員が訪問し、医師等の指示のもとICT機器を活用して状況把握を行い、医師等が評価・助言を行う場合も算定を認めるよう緩和する。

 なお、同対応案は通所リハビリには適用しない方針。

通所リハビリ

医療保険のリハ計画書必須に

 通所リハビリテーションについては、医療保険から介護保険への円滑な移行、質の高い連続的なリハビリの実施を促すための各種方策が示された。一つは、ケアプランの「主治の医師等」に入院医療機関の医師を含めることを明確化。ケアマネジャーが主治医等の意見を求める手間の軽減が期待できる。

 また現状、介護保険のリハビリ事業所が医療機関から疾患別リハビリテーション計画書を入手している利用者は44%と半数に満たないため、運営基準上に「医療機関のリハビリテーション計画書の入手」を位置付ける。通所リハビリの理学療法士等が退院前カンファレンスに参加し、退院時共同指導を行った場合の加算も新設するとした。

大規模の一律減算を見直し

 通所系サービスの基本報酬は利用定員数に応じて通常規模型・大規模型(Ⅰ)・大規模型(Ⅱ)に分類され、スケールメリットの観点から規模が大きい区分ほど報酬が低い。これについては「事業規模を活かし、専門職の手厚い配置や中重度者の受入れなど、質の高いケアに取組む事業所も多い」など、一律での減算の撤廃を求める声が前回の議論でも相次いでいた。

 同省は対応案として「リハビリテーションマネジメントの体制等が充実している事業所はスケールメリットが限定的となることから、大規模型の報酬について一定の見直しを行ってはどうか」と明記。具体的な報酬の建付けについては言及しなかったが、リハビリテーションマネジメント加算等の算定がポイントになると考えられる。

 なお、前回改定で新型コロナ対応への特例として設けた「3%加算」「規模区分の特例」については、今後の新興・再興感染症や大規模災害等への備えとして継続する見込み。

リハ・口腔・栄養の一体的計画書見直し

 前回改定では「リハビリ・口腔・栄養の一体的な取組の推進」を明確化。リハビリテーションマネジメント加算については「管理栄養士、歯科衛生士が必要に応じて参加すること」と明記された。次期改定案ではこの部分の評価として、口腔・栄養のアセスメントを実施した場合に加算の上乗せを行うとした。

 あわせて、前回作成したリハビリ(機能訓練)、口腔・栄養の各ケア計画が一体的に記入できる様式(一体的計画書)については見直しも検討する。現在、使用している事業所・施設の割合は通所リハビリ27.2%、特養8.6%、老健19.3%と低調。「別の書式を運用」「活用を促す加算がない」などが主な理由に挙げられる。

通リハで障害サービス実施へ

 現在、障害福祉サービスの報酬改定議論において、医療機関や通所リハビリ事業所で自立訓練(機能訓練)による訓練給付をみなし指定事業所として提供可能とする要望があがっている。これを受け同省は、通所リハビリ事業所で自立訓練を提供する場合に、人員・施設の共有を可能とする対応案を提示した。

 自立訓練は障がい者施設・病院を退所(退院)、または特別支援学校を卒業した人に対し、地域生活を送るため身体機能の維持・回復を目的とした訓練を提供するサービス。看護職員や理学療法士、作業療法士、生活支援員の配置が必要となる。4月実績で事業所数183、利用者数2217人。開設主体は社会福祉法人、営利法人がそれぞれ3割前後だが、医療法人は5%と少ない。認知度の低さや医療専門職の確保がサービス拡大の課題とされている。

 石田路子委員(高齢社会をよくする女性の会理事)は「地域共生社会の実現へ重要な取組み」と評価しつつ、「障がい者と高齢者ではケアの専門性が異なる。人材不足の中で果たして実践できるか。業務過多を引き起こさないよう進めていただきたい」と指摘した。

(シルバー産業新聞2023年11月10日号)

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