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認知症と家族の関わり

認知症と家族の関わり

11月11日の「介護の日」を前に、本紙は「介護の日しんぶん」を発行した。「母が教えてくれた大切なこと」「覚えていなくても伝わる気持ち」という見出しが並ぶのは、認知症の母を介護した脳科学者・恩蔵絢子さんの「私の介護体験記」だ。

▼ピアノ教師だった母は60代半ばから物忘れが進んでいたが、認知症の診断を恐れた恩蔵さんは、受診を先延ばしにしていた。しかし、母が参加していた合唱団の発表会で、曲の途中で「今どこ歌っているの?」と隣の人に尋ねる姿を見て、病院に行くことを決めた。そして認知症の診断を受けた瞬間、母や家族の間での「うそつき大会」が終わり、「もうごまかさなくていい」と感じた。

認知症が親子の関係性を変えていくのをどう受け止めるか。認知症の人と家族の会の鎌田松代代表理事も、「以前から看護師として認知症に向かいあっていたのに、家族が認知症になった時は冷静ではいられなかった」と、本紙の取材に答えている。周囲のひとや専門職の関わりが大切なのだ

▼恩蔵さんは、もう逃げ出したいと思った時に、ケアマネジャーから「最近、必要な言葉以外の言葉を使っていますか」と聞かれハッとする。「これ着て」「これ食べて」「これ履いて外に行くよ」と、衣食住で必要な言葉だけだったからだ。「私だってお願いばかりされたら、その人のこと嫌いになるって気づいた」。

ケアマネが、家に飾っていた花を指さし「恵子さん、これ綺麗ですね」と言うと、母は「うん、綺麗ね」と返した。恩蔵さんは、自分が何をしているのか忘れてしまう母へ、少し言葉を足すことで、得意な料理なども続けることができ、「失ったように見えた機能も戻ることがあると実感した」と静かに話した

▼「母の介護をして一番良かったのは、人を『便利』で見なくなったことです」「『自分にとって何をしてくれるか』ではなく、その人がどんな人なのかを見るようになって、とても成長できたと感じています」。脳科学者は母を想いながらそう結んだ。

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