いまからでは創れない介護保険

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いまからでは創れない介護保険

 8月25日介護保険部会において、厚労省は2024年介護保険改正論議が中盤に差し掛かり、12月の制度見直しの意見集約に向け論点を提示した。

 俯瞰すると、①人口減少と都市部の高齢者増という地域格差への対応。都市部の施設サービス整備をすすめ、サテライト事業所の創設・推進を含めて定期巡回と小多機、看多機の普及をめざす。医療計画と整合性を取って在宅医療・介護連携を推進し、在宅生活の限界点を高める。

 ②特養の重度化(平均要介護度01年3.47~20年3.96)で医療ニーズに対応する一方、原則要介護3以上の入所基準やユニットケア整備を検討の俎上に上げる。ユニットケアは「生活単位と介護単位を一致させたケア」という利点がある一方で、コストや人材確保面の課題がある。現在特養のユニット化率は47.1%。

 ③ケアマネジメントは、多職種連携によるプラン作成、「適切なケアマネジメント手法」の推進、地域の多様な資源活用がテーマ。

 ④「データヘルス改革工程表」に基づき科学的介護を推進、自身の介護情報の閲覧、介護事業所間および介護・医療間の介護情報の共有を進める。

 ⑤地域リハビリテーションの推進。

 ⑥住まいと生活の一体的支援。住まいは地域包括ケアの基礎、今後、賃貸住宅の割合の上昇が見込まれ、「高齢者の入居が断られる」事態の増大が予想される。

 地域包括ケアシステムの構築は、団塊世代全員が75歳に達する2025年を目標にしてきた(団塊世代は1947年~49年生まれ。正確には24年中に75歳の誕生日を迎える)。

 さて、支え手である生産年齢人口の長期的な減少とともに、8050問題など地域や家庭の複合的な課題が増大する中で、社会弱者である高齢者や障がい者を日常生活の中で見守り支え続けるケアマネジャーや介護事業所は、社会インフラの役割を果す。21世紀の大事業としてスタートした介護保険は、いまからでは創ることができないだろう。介護ニーズはいまも増大する。

(シルバー産業新聞2022年8月10日号)

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