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聴覚障がい、視覚障がいの専門ユニットがある特養/栗原道子(22)

聴覚障がい、視覚障がいの専門ユニットがある特養/栗原道子(22)

 神奈川県相模原市にある「よもぎの里 愛の丘」は、障がいがある人の入居、または障がいがあっても働きたいという人へ、窓を大きく開いている特別養護老人ホームです。

 2010年に開設した全室個室のユニット型特養(定員100人)で、1階には大きな交流ホールのほか、事務所や応接室、託児所、厨房や洗濯室などがあり、2階に聴覚障がい専門ユニット(定員10人)、視覚障がい専門ユニット(定員10人)があります。さらに2階には重度認知症の人が暮らすユニット(定員20人)もあります。

 3階は医療対応を要する人(バルーンや胃ろうの人など)が30人暮らしており、4階は要介護3以上の人(定員30人)で比較的自分で動ける人の住まいになっています。

 私は今まであちこち施設を見せていただいた中で、1ユニット9人定員のグループホーム内に1人か2人、視覚や聴覚に障がいのある人たちがいるところはありましたが、大規模な施設でこのような形をとっているところは初めてです。なお、神奈川県では同施設のほか、横須賀市の養護老人ホームで視覚障がい者を受け入れています。

 施設長の吉川友子さんは介護の仕事を40年してきた、あったかいお母さんのような方です。「昔は寮母さんと入居者という暮らしでした。視覚や聴覚が不自由な人は、どうしてもスタッフの声掛けが多くなります。入居者は寮母さんやスタッフからの声掛けやスキンシップにすごく敏感で、それが多いか少ないかでやきもちを焼く人もいます」と吉川さんは言います。

 見えない人は食事に時間がかかったり、方向転換がとっさにできないなどの特徴を持っています。糖尿病が進行して視力が弱った人と、生まれつき見えない人では、介護の仕方が違います。それらを踏まえて専門ユニットを設けた施設を開いたそうです。

 開設するまでに障がい関係の研修に行き、実際のケア内容を学びました。時代と共にケアの内容や個人の感覚、考え方も変わってきているので、スタッフの年代は若い世代から70代までバランスよく雇用しています。就職希望の人には何をしたいかよく聞き、個々に適したところに配属する、8時間労働はきちんと守るなど運営側の努力と工夫も大変なことでしょう。

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 スタッフには障がいのある人も数人います。精神障がいの手帳を持っている人も働いていますが、吉川施設長は「辛かったら休みなさい」とスタッフ個々の様子を見て声かけをするそうです。復帰した後、様子を見て「介護より洗濯の仕事をしてみる?」など提案をすることも。

 元・理系のエンジニアが介護の仕事をしたいと来た際は、機械相手のエンジニアが?とびっくりするようなきめ細かい優しい介護をしてくれたそうです。

 ろうあのスタッフは、他の職員と交わって立派に仕事をしています。入居者個々にあわせて点字の音楽を流したり、インターネットで歌を流したり、障がいのある人向けに配慮され提供されているものをうまく活用しています。

 施設内を見せていただきました。

 聴覚障がい者のユニットには、居室ごとに緑色の回転灯が設置され、来客があるとインターホン代わりに点滅します。火災や地震などの緊急時には、非常放送の代わりにフラッシュライトを点滅させる仕組みになっています。

 視覚障がい用のユニットには、手すりに点字が表記されています。このユニットは特にスタッフと利用者のコミュニュケーションを重視し、スタッフの声かけを多くしています。さらに全室インターネットと固定電話の引込み線があり、各ユニットには右利き用トイレと左利き用トイレも備えています。

 1階の交流ホールのベランダからの景色は、まるで軽井沢のような眺めでした。夏には、このベランダで皆さん涼をとるそうです。5階にはセレモニー室もあり、ご遺体の安置や葬儀を行うこともできます。

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 入居者の多くは、「家族に迷惑をかけないで生活できてよかった」という人が多いそう。障がいをもち、家族に気をつかいながら生きてきた人生は大変だったことでしょう。同施設のような障がいがあっても温かく暮らせる全室個室の特養が全国各地にできることを願っています。

 同施設は全国から入居でき、身内がいなくても後見人制度を活用しても入居できます。「よもぎの里 愛の丘」=神奈川県相模原市南区当麻490-1、TEL042・778・7211。

(シルバー産業新聞2022年6月10日号)

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