愛知県 県挙げて「認知症に理解の深いまちづくり」に取り組む

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愛知県 県挙げて「認知症に理解の深いまちづくり」に取り組む

 愛知県の認知症の人の数は、15年で約27.7万人と推計され、40年には最大で約54.6万人に増加すると見込まれている。県は17年9月、認知症施策を推進していくため、大府市の認知症介護研究・研修大府センターや国立長寿医療研究センターのあるエリアを核に、「認知症に理解の深いまちづくり」を目指す「あいちオレンジタウン構想」を策定した。

共生・予防具体化へ「オレンジタウン構想」

 「あいちオレンジタウン構想」は3年1期のアクションプランに沿って、様々な取り組みが進められる。21年度からは、国の認知症施策大綱や新型コロナウイルスの感染拡大なども踏まえた、第2期アクションプランが動き出した。ここでは大きく7つの柱が位置づけられている。

「希望大使」 が本人発信

 21年7月に県内の認知症当事者2人を「認知症希望大使」に任命。75歳の時にアルツハイマー型認知症の診断を受けた内田豊蔵さん(78)と、51歳の時に若年性アルツハイマー型認知症と診断された近藤葉子さん(61)が、県内の様々な活動に出向く。当事者・家族の交流会や認知症サポーターのフォローアップ研修、学校や企業など、活躍の場は幅広い。「ご本人による話は説得力があり、認知症になっても様々な可能性・役割をもって活躍できることを、多くの方々に浸透している」と同課地域包括ケア・認知症施策推進室の花村広美室長補佐は話す。

専門職研修に意思決定支援

 認知症の人の意思を汲み取って支援するため、医療・介護従事者向けの認知症対応力向上研修において、23年度までに、専門職向け研修で意思決定支援に関するプログラムの導入率100%を目指す。

地域支援推進員のスキルアップ

 認知症の相談に応じたり、必要な支援につなぐ「認知症地域支援推進員」は現在全市町村に配置されている。「県内に約300人いる推進員は、約8割が地域包括支援センター職員が兼務していて、本来業務が多忙な中、推進員の資質向上研修があっても参加しづらい状況があった」と認知症施策推進グループの嶋田有希子室長補佐。そこで、資質向上研修にeラーニングなどのコンテンツを盛り込んだ「研修プラットホーム」を構築した。
左から地域包括ケア・認知症施策推進室の青井誠一郎室長補...

左から地域包括ケア・認知症施策推進室の青井誠一郎室長補佐、花村広美室長補佐、嶋田有希子室長補佐、高齢福祉課の丹羽武明課長補佐

認知症にやさしい企業へ

 認知症の人への配慮ができている企業や大学を登録する制度「あいち認知症パートナー宣言」では、県内55企業と18の大学が登録を受けている。

 さらに、金融機関や小売業、公共交通機関など、認知症の人と接する機会の多い業種の従業員を対象に、「認知症の人にやさしい企業サポーター養成」(ONEアクション研修)をつくり、教材を提供して各企業での研修実施を呼びかけている。

 モデル事業として、企業と市町村が連携し、認知症当事者から意見も聴きながら、認知症の人にやさしい商品・サービスの開発を目指す取り組みも始める。

若年性認知症の早期支援・社会参加へ

 若年性認知症の早期相談支援体制を構築するため、県内の認知症疾患医療センターと、支援コーディネーターが配置されている若年性認知症総合支援センターの連携を密にし、診断前後の時期に適切な支援ができる体制をつくっていく。

災害時支援とコロナ禍のカフェ運営

 県と市町村が連携し、災害時での認知症の人や家族の支援について先進的モデル事業を実施。認知症地域支援推進員の研修プラットホームにも反映させて、県内の他地域にも横展開していくことを目指す。現在県北西部のあま市で、県と愛知県立大学が協定を結び、同大学の監修・助言を受けながら、グループホームでの避難マニュアル作成などに取り組んでいる。

 「昨年8月に県内の認知症カフェを調査したところ、コロナ禍で3割のカフェしか開催できておらず、開催しても規模を縮小するところが大半だった」と花村さん。今年度、オンラインを活用するなど工夫して交流を図る取り組みを検討し、モデル事業を実施する。

MCI早期発見へチェックリスト作成

 簡易なチェックリストを用いて、軽度認知障害(MCI)の兆候を早期につかみ、近い将来認知症を発症するリスクの度合いを評価する手法の開発を目指し、18年度から大府市と東浦町、国立長寿医療研究センターなどと共同研究に取り組む。

 18年には大府市と東浦町の高齢者を対象に、認知症の発症と関連性が高い項目をチェックする「プラチナ長寿健診」も実施。血圧や握力、歩行速度、単語記憶、転倒の有無、うつ症状の有無などについて、毎年2000人に対し聞き取りや計測などを行い、22年度までにのべ1万人分の健診データを集めている。

 「各人の健診結果と医療レセプト情報による受診状況を突合させ、どの項目が認知症発症との相関性を分析し、年度内を目指しチェックリストの開発を進める」と地域包括ケア・認知症施策推進室の青井誠一郎室長補佐。「いま使われている認知機能チェックリストはあくまで現状把握だが、今回取り組むのは将来予測を図るもの。来年度には各市町村に配布し、高齢者向けの各種健診で活用してもらいたい」と話す。

「じぶんごと」として取り組む

 18年12月には「愛知県認知症施策推進条例」を制定した。「全ての県民が、認知症の人が認知症とともにより良く生きていくための地域づくりに『じぶんごと』として取り組むこと」が位置づけられている。
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(シルバー産業新聞2022年6月10日号)

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