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第15回日本薬局学会学術総会 薬剤師の対人業務知る場に

第15回日本薬局学会学術総会 薬剤師の対人業務知る場に

 11月6、7日に第15回日本薬局学会学術総会が開催される。新型コロナ感染拡大を受け、完全ウェブでの実施となる(ライブ配信、一部オンデマンド配信)。大会テーマは「今こそ存在感!~薬剤師の新たなフィールドへ~」。薬剤師の業務が対物から対人へシフトするなか、医療・介護職等と連携し地域・在宅を支える薬剤師の実践を学ぶ機会となる。大会実行委員長の藤井江美氏(アイセイ薬局社長)に聞いた。

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 ――大会テーマの「薬剤師の新たなフィールド」とは。

 薬剤師の従来業務からの広がり、さらなる存在感への期待を込めました。

 これまで薬剤師は、薬を見ながら患者へアプローチしてきた「対物業務」が中心でしたが、薬機法改正で調剤後の継続的な服薬指導、服薬状況等の把握など一人ひとりの生活状況を踏まえた服薬指導、いわゆる「対人業務」が明確化されました。

 生活状況の把握には①患者本人とのコミュニケーション②他職種との情報連携――が欠かせません。この2つが「新たなフィールド」への糸口になると考えます。

 また、昨今の新型コロナ禍で増加する自宅療養者への支援は、今まで想定していなかったフィールドです。どのようなアプローチが効果的か、医師や看護師と連携し取り組んでいるところです。

 シンポジウム1(6日13時10分~14時50分)では「対人業務~服用薬剤調整支援 戦略と具体的実践方法~」と題し、薬剤師が具体的な実例を用いた対人業務の発表・検討を行います。

 他にも認知症や食・栄養、感染対策、地域住民の健康サポートなど、介護分野でも馴染みのあるテーマで各種シンポジウムを用意しています。薬剤師がどう考え、どう動いているかをお伝えできる場にもなっていますので、ぜひ介護従事者の方々にもご視聴いただければと思います。

 ――薬剤師の地域・在宅への広がりを示す指標として、介護保険の居宅療養管理指導の伸びが顕著です。

 薬剤師による居宅療養管理指導の算定回数は、この10年間で7~8倍に増えました。また、かかりつけ薬剤師がいる薬局は5割を超えています。現に対人業務が加速化しているのは間違いありません。

 高齢者の場合、年齢とともに服薬の種類が増える傾向にありますが、その中には複数診療科の受診が原因で、本来一緒に飲む必要がない薬、名称は違うが働きが同じ薬などの重複投与も一定数存在します。特に在宅は服薬状況や生活面への影響などが見えにくい現場ですので、薬剤師が介入する余地は十分にあります。

 薬剤師の職能への理解が進んできたことも伸びの要因の一つです。例えば体調が悪いとき、治療過程で一時的に状態が落ちているのか、または薬が原因なのかを医師と連携し、薬剤師も見極めていきます。そのような中で、医師へ処方内容を提案できる機会も増えてきたのではないでしょうか。

 介護職との連携も同様です。「食事が進まない」「便通が良くない」といった生活面の問題も、実は薬が関係していることも大いにあり得ます。 当協会では医師やケアマネジャー、訪問看護師を招いた研修にも取組んでいます。各職種の役割、他職種へ求めること、これらの相互理解を通じて連携の敷居が低くなるよう、バックアップしていきたいと思います。

 ――8月からは地域連携薬局の認定が始まりました。

 健康サポート薬局がセルフメディケーションなど、予防・健康増進も含め幅広い患者を対象にしているのに対し、地域連携薬局はより医療へ軸足を置いた機能、特に入退院時の円滑な情報連携が期待されます。

 認定要件の一つ、薬剤師への研修は当協会でも実施しています。それに先立って5月には「地域医療連携の手引き(薬局版)も策定しました。サービス担当者会議での情報共有や、地域ケア会議への関わり方、介護・看護職への教育などのポイントも押さえた内容となっていて、皆様に活用いただいています。

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(シルバー産業新聞2021年10月10日号)

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