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震災経験から地域の福祉拠点を目指す(後編) 全国組織など通じ支援者200人

震災経験から地域の福祉拠点を目指す(後編) 全国組織など通じ支援者200人

 社会福祉法人宮城厚生福祉会(仙台市、金田早苗理事長)が運営する高齢者福祉施設「宮城野の里」は、2011年3月11日に起きた東日本大震災の10日後、ケアハウスの食堂を活用し福祉避難所を開所した。被災した要支援者やその家族等約30人の心身のケアに励み、要介護認定や次の受け入れ先の決定までを支援。大内誠施設長は「施設どうし、加盟組織との連携や、支援が福祉避難所運営の大きなカギとなった」と当時を振り返る。

開設までの10日間 駆け込み避難も

 発災当日から10日間は、自宅で生活できない利用者や避難所生活が困難な高齢者をお泊りデイとして受け入れた。職員も、人が集まる場所が安全だと考え、施設で寝泊まりしながら働いていた。

 津波による被害はなかったものの、電気やガスなどのライフラインは寸断。水道も約1カ月止まったが、雑用水は地下タンクの雨水、飲料水は貯水タンクから確保していた。地域の人々にも配給していたため「宮城野の里には水がある」と口コミが広がっていったという。

 食料については、職員が自宅から持ち寄ったり、地元の農家が野菜を持って駆け付けたり、地域の業務用食品卸から支援を受けるなどして避難者の食事を切盛り。ガスが使えない中、液状化で地面から剥がれたブロックを積み上げてかまどを作り、庭の植木の添木を引き抜いて薪にするなど、工夫を凝らして調理をした。

 「支援物資が届くまでの数日間を全員で協力して乗り切った」と大内施設長。

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他県から訪問入浴車の支援も

 同法人は、医療や福祉分野の連合会である「全日本民医連」と、老人ホームを中心に発足した「21・老福連」に加盟。被災時には人員や物資、正確な情報など多くの支援を受けた。

 避難所開設・運営の際には、全国各地から187人の支援者が次々と集結。専門職によるマッサージや散髪、アニマルセラピー等のイベントなど、慣れない避難所生活を送る要介護者が過ごしやすい環境づくりでも、ずいぶん助けられた。

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 避難所ではおむつを着用する高齢者の肌への負担が懸念されていたが、開所から3日後に山形の社会福祉法人が訪問入浴車を手配。入浴サービスの再開につながった。

 大内施設長は「組織から必ず支援が来ると思えることが心強かった。支援物資もすぐに届き、近隣の施設と分け合うこともできた。当時の経験をもとに、地域間でも普段から顔の見える関係を築くことを意識している」と、日頃の連携の大切さを強調。16年4月14日に起きた熊本地震の際には、同法人も組織加盟施設に支援物資を持って駆け付けるなど、「困ったときはお互いさま」の関係づくりに尽力している。

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(シルバー産業新聞2023年5月10日号)

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