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賃上げにつながる公的価格に

賃上げにつながる公的価格に

 介護職、看護職、保育士などの「公的部門」の人たちの賃金アップが図られる。岸田政権は、「成長と分配」の一環として、介護職員、福祉職員、保育士、幼稚園教諭の賃上げを掲げ、来年2月から収入の3%程度(月額9000円)の引上げを閣議決定した。

 看護職は、来年2月に収入の1%程度(月額4000円)を引上げ、来年度の予算編成によって10月に更なる対処を行うなど、段階的に収入の3%アップをめざすとしている。

 この「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」において、「分配戦略として、安心と成長を呼ぶ人への投資を強化。賃上げへの支援、人的資本への投資や働き方改革、非正規雇用労働者等への分配強化、公的価格の在り方の見直しや子供・子育て支援等により、誰一人取り残されることなく、国民全員が参加・活躍できる社会を作る」と宣言。コロナ禍への対応で仕事量が増えている医療、介護、福祉、教育などの公的部門の大半を担う民間の事業者で働く人たちの賃金引上げに税を投入する。人への投資に、3年間で4000億円の予算をつけ、賃上げのメッセージをしっかり掲げることで処遇改善を広くアピールして、恒常的な人材不足に見舞われている事業所を支援するねらいだ。

 介護職員処遇改善加算などで賃金アップが図られてきた介護現場の離職者は以前より減ってきたが、これまでならば不況下などで求職者の受け皿になっていた介護分野の新規採用が思うに任せない状況にあり、このままでは2040年までの介護ニーズの拡大への対処が難しいという判断だ。政府とすれば、コロナ禍で逆に20年度の医療費が前年より1兆4000億円減少していることも税投入に前向きになる理由かもしれない。

 注目は、「全ての職員を対象に公的価格の在り方を抜本的に見直す」という点。これまでも介護報酬の引上げが介護職員などの給与アップにどうつなげるかが、介護保険を担う厚生官僚の大きなテーマだった。民間が担う公的分野の賃金の引上げについて、政府の「公的価格評価検討委員会」の議論の行方を注目したい。

(シルバー産業新聞2021年12月10日号)

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