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【解説】高齢者に多い「スキンーテア」「褥瘡」の予防と悪化防止

【解説】高齢者に多い「スキンーテア」「褥瘡」の予防と悪化防止

 皮膚が脆弱な高齢者はスキントラブルや創傷を起こしやすく、QOLなどを大きく低下させる要因にもなる。高齢者に多いスキン―テア、床ずれについての予防や発生時の対処、トラブルや創傷を作らない予防的スキンケアの重要性について、在宅創傷スキンケアステーション・岡部美保代表(皮膚・排泄ケア認定看護師)に聞いた。

スキン―テアの保有・既往を確認しよう

 スキン―テア(Skin Tear:皮膚裂傷)とは、摩擦やずれによって皮膚が裂けたり、剥がれたりすることをいいます。例えば、▽絆創膏をはがす時に一緒に皮膚が剥がれた(摩擦)▽ベッド柵に擦れて皮膚が裂けた(ずれ)▽更衣時に衣服が擦れて皮膚が裂けた(摩擦・ずれ)――など、皮膚が弱い高齢者では、普段の生活動作や介助の中でスキン―テアが起こってしまうことがあります。

 リスクアセスメントのポイントをいくつか紹介しましょう。発生リスクが高いのは高齢者です。特に75歳以上の方は、皮膚が脆弱(脆く弱く)で菲薄化しています。些細な摩擦などでも皮膚は損傷します。

 これまでにスキン―テアを起こしたかどうか。「既往」を確認しましょう。スキン―テア治癒後には特徴的な瘢痕(はんこん)があります。ポイントは、白い星状や線状の傷あとです。利用者の皮膚にこのような瘢痕を見つけた場合は、再度スキン―テアを起こしやすい人だと考えましょう。

 また、ドライスキンの方、白くカサカサして薄い皮膚は「ティッシュペーパー様」といって、容易に皮膚が剥離しやすいため、こちらも注意が必要です。

入院基本料の評価項目にも

 ちなみにスキン―テアは、2018年度診療報酬改定から入院基本料の基準の一つである「褥瘡対策の基準」の評価項目になりました。「皮膚の脆弱性(スキン―テアの保有・既往)」が評価項目に位置付けられています。

スキン―テアの予防的なスキンケア

 次に予防的なスキンケアの方法です。まず洗浄では、肌にやさしい弱酸性の泡状の洗浄剤の使用をおすすめします。たっぷりの泡を転がすように洗浄し、皮膚を強くこすらないようにしましょう。皮膚の乾燥がひどい場合には、保湿成分配合の洗浄剤を選ぶといいでしょう。微温湯でよく洗い流し、水分のふき取りや清拭時には押さえ拭きします。高水圧のシャワー、高温のお湯、長時間の入浴は控えましょう。

 保湿は、低刺激性でローションタイプなどの伸びのよい保湿剤の使用をおすすめします。1日2回以上塗布できるとスキン―テアに有効であると言われています。

 皮膚が損傷しないように保護することも大切です。アームカバーやレッグカバーは100円ショップでも購入できます。粘着材不使用のウレタンフォームや自着性包帯を巻くのもよいです。テープをはがす際にもスキン―テアを起こすおそれがあります。皮膚には、テープなどを貼らないように心がけましょう。

皮弁を元に戻すことで早期治癒に

 スキン―テアを発見した時、まずは止血・洗浄をします。必要な場合は圧迫止血をしましょう。洗浄には、生理食塩水を使用できると痛みを軽減できます。

 また剥がれた皮膚(皮弁)が残っている場合は、湿らせた綿棒、手袋をした指、無鉤攝子(むこうせっし:医療用ピンセット)などを使って、皮弁を戻しましょう。「戻していいのかな?」とためらう人もいますが、皮弁はできる限り戻したほうが、治癒までの期間が早まります。

 皮弁を戻した後は、シリコーンゲル粘着性親水性ポリウレタンフォームドレッシングなどを当てて創部を保護すると安全にケアができます。

 在宅でガーゼを使用する場合は、油脂性軟膏などを併用して、皮膚にガーゼが固着することを予防しましょう。

褥瘡発生要因の一つ「マイクロクライメット」

 外から力が加わることで血流が低下・停止し、この状況が一定以上続くと、皮膚が赤みを帯びたり、傷ができたりします。これが褥瘡(床ずれ)です。発生の要因はさまざまありますが、主には活動性・可動性の低下、外力(圧迫、ずれ、摩擦)、失禁、低栄養などが挙げられます。

 褥瘡ができやすい人の特徴には、▽圧迫の時間が長い(寝返りができない、定期的な体位変換が難しいなど)▽圧が集中しやすい体の特徴(病的骨突出、関節拘縮など)▽日常的にずれや摩擦が生じやすい(背上げ、移乗など)▽皮膚が弱くなっている(加齢、基礎疾患、おむつの使用など)――などがあります。

 褥瘡発生の新たな概念として関心が高まっているのが「マイクロクライメット」です。皮膚局所と支持面間の温度と湿度の状態を指し、褥瘡予防や治癒の促進には、外力からの体圧分散ケアに加え、「温度上昇の予防や湿度の透過」の管理も重要です。

 つまり日頃から、皮膚の温度・湿度の管理が不十分であると、より褥瘡の発生リスクも高まるということです。

 最近は、マットレス内の熱や湿気を排気し、マイクロクライメット管理ができるエアマットレスなども登場しています。

「指で3秒圧迫」で褥瘡かどうか確認

 皮膚の異常を発見したら、まずは褥瘡かそうでないかを見極めます。確認方法は、まず「発赤部分を指で3秒圧迫して皮膚を観察」します。指を外した時に発赤が消失したら褥瘡ではなく一時的発赤(反応性充血)で、消失しない場合は褥瘡の可能性が高いです。

 ただ、消失する場合でも、皮膚が赤くなっている時点で黄信号です。早急に体圧分散のケアやマイクロクライメットの管理などの予防的なケアが必要です。

 皮膚に消失しない発赤を発見したら、発生部位や褥瘡の形状、身体的特徴をみながら、発生要因をアセスメントすることが大切です。創部の形状が縦や横に広がっている場合は、圧迫に加え、その方向にずれや摩擦が生じている可能性があります。圧迫、ずれや摩擦は、生活の中で日常的に生じます。いつ、どのような場面で発生しているのかを確認して対策を講じましょう。

予防的なスキンケアの継続が大切

 いずれにしても、高齢者のスキントラブルや創傷を未然に防ぐためには予防的なスキンケアが大切です。

 高齢者を支援する人々が、高齢者に起こりやすい症候や創傷を知り、予防的なスキンケアを継続することは、高齢者の安心・安全な生活に繋がります。質の高い看護や介護の実践に、予防的スキンケアを理解し継続していただけると嬉しく思います。

(シルバー産業新聞2023年5月10日号)

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